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ちゃらーす☆

さて、プレミアリーグ終盤の、最大の大一番といっても過言ではないこの一戦。

アーセナルVSチェルシー。

アーセナルがホーム、エミレーツスタジアムで首位チームを迎え撃ちます。
首位と2位の直接対決。

チェルシーが勝利を収める事になると、ほぼリーグ優勝確定となる状況。

連勝街道を突き進む絶好調のアーセナル。

一方、敗戦こそしていないものの、試合内容がやや失速気味のチェルシー。

ベンゲル監督からすると、ついに天敵モウリーニョに一泡吹かせるチャンスとなるか。

分析!
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【システムのマッチアップ】
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※図はアーセナル側から
赤字:アーセナル/青字:チェルシー

▼アーセナル
基本的にはいつも通りのシステム。

4-1-4-1

ただし、⑲カソルラがやや流動的で、ボランチに下がり気味にゲームを作っていく為、4-2-3-1にも近い。

現時点でベンゲル監督が選ぶベストの布陣でしょう。
注目のチェルシー⑩番アザールに対するは急成長中の㊴ベジェリン。

ここがどれだけやれるのか。

▼チェルシー
いつも通りの布陣。

4-2-3-1

ケガによる台所事情で注目されていた、1トップの選手ですが、意外な選択。
➇オスカルを最前線で起用する形。

まあ、やはり⑪ドログバに90分を戦わせるのは難しいと見たか。
ゲーム終盤、相手が前掛かりになった時に前線でタメを作る為にも、後から投入する事を選んだって事ですかね。

またアーセナルのキーマン、⑰サンチェスへの対策をどう取るかが注目でしたが、⑰サンチェスサイドのボランチにはいつも通り④セスクを配置。
⑦ラミレスは⑰サンチェスと同サイドでの起用となります。

【注目ポイント】
互いのキーマンに対してどんな対応を見せるのか。
⑰サンチェスと⑩アザールの二人のドリブラー。

また、チェルシーの最前線、➇オスカルを起用した形でどのように点を取りに行くのか。

アーセナルの方がリーグテーブルの上では追い込まれている形ですから、それを踏まえてどのようにゲームを進めるのかは注目ですね。

注目!
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前半~


▼⑰サンチェスに対しては④セスクと②イバノビッチで対応...
まずはチェルシーの守備から。

注目の⑰サンチェスに対しては、④セスクと②イバノビッチが対応します。
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画像一番奥でボールを持つのが⑰サンチェス。

すぐ手前で対応するのが④セスクと②イバノビッチです。

少し意外だったのは、⑦ラミレスがそこまで⑰サンチェスに対する守備には加わらなかった事。
同サイドでの起用だったので、てっきり潰しにかかるかと思いましたが。。

④セスクも守備力が高いとは言えないので、実質ほとんどを②イバノビッチがそのまま対応する事に。


特にマンツーマンを張る事なく、チェルシーは基本的には全てゾーンで対応。

②イバノビッチは⑰サンチェスへの対応を序盤から厳しくいっており、ファールがかさみます。


▼②イバノビッチのオーバーラップは封印。前線4人だけでの攻撃...
まずは守備から入るという事で、チェルシーの攻撃の型の一つである、②イバノビッチのオーバーラップは、この日なりを潜めます。
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例えばこのシーン。
少しぶれてますが、画像中央の④セスクにボールが入った瞬間。

画像一番右上が②イバノビッチですが、いつもならスペースの広がる右サイドを駆け上がる所を、このシーンではむしろ後ろに引いています。


という事で、両SBのオーバーラップを封印。
更にはボランチもゴール前までは入っていかないように意識。

すると。
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ゴール前まで攻め込んでも入っていくのは2列目以降の4人のみ。バイタルエリアがポッカリ空いてますね。

チェルシーはリスクを排除した形でゲームを進めます。


▼⑩アザールに対しては㊴ベジェリンが一人で対応...
先日プレミアリーグの最優秀選手賞を獲得した⑩アザール。
プレミアリーグで最も危険なこの選手に対し、アーセナルは㊴ベジェリンが一人で対応します。

アーセナルのスピードスター⑭ウォルコットを抑えて最も足の早いこのSBが、厳しく⑩アザールをチェック。
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中盤で⑩アザールにボールが渡る瞬間。
最終ラインからここまで飛び出して自分の獲物を捕まえに行きます。

実際、この㊴ベジェリンの対応はどうだったかと言うと。。

しっかりと⑩アザールを抑えてました。

チェルシーが攻撃に人数をかけていなかった為、⑩アザールも選択肢が限られていたという事実はあるにせよ、なかなか引きはがせないこのマーカーを嫌って、⑩アザールは徐々に中央でのプレー機会を増やしていきます。


さらにこの㊴ベジェリン。

⑩アザールへの守備だけに終始しません。

攻撃に関しても積極的に前に出ていきます。

⑩アザールが守備をある程度免除されている事もあり、㊴ベジェリンは比較的フリーの状態で攻め上がる事が出来ます。
元々攻撃の選手という事もあり、前にいる⑯ラムジーとの連携で次第にチャンスを演出していきます。


▼チェルシーは中央を固め、外は比較的泳がせる...
おそらくアーセナルの攻撃の形をわかってての対応でしょう。

この日、アーセナルの攻撃は、いつもに比べるとクロスが多かったように思えました。
アーセナルはポゼッションサッカーを志向している為、サイドアタックはあまり上手くありません。

というより、高さは⑫ジルーくらいしか無いですから。

逆にチェルシーは、守備陣の高さはリーグトップクラス。
GKクルトワにはじまり、②イバノビッチ、㉔ケーヒル、㉖テリー、㉑マティッチ。

とてもアーセナルが高さで対抗出来るとは思えません。

結果として、アーセナルから見ると、ボールは持てるケド決定機まではいけない展開が続きます。


▼ゲームが進むにつれてカウンターの色を濃くするチェルシー...
これは得意の形ですが、チェルシーは⑩アザールと➇オスカルを前線に残して、他は引いてブロックを作ります。

アーセナルは両SBが攻撃参加するので、スピードに不安のあるCB2枚で⑩アザールのような俊敏な選手を見るのは怖いでしょう。

その分の守備は㉒ウィリアンが対応します。
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左サイドは⑩アザールが前線に残る為、守備が手薄になる。
そこには、トップ下に入る㉒ウィリアンが左サイドにシフトして穴を埋めます。


結局このままゲームは動かず、前半を折り返します。


【前半総括】
▼アーセナル
・⑰サンチェスはボールを持てるものの、決定機は作れず
・㊴ベジェリンは素晴らしいパフォーマンス
・ボール支配率は高いものの、主導権はチェルシー

▼チェルシー
・思惑通りの試合運び
・危険があるとすると⑰サンチェス
・⑩アザールが少し窮屈そうか


総括少ないですね(笑)
互いに劇的な変化は無く、粛々とゲームが流れていく感じですね。

まあ、それ自体がチェルシーの思惑通りに運んでいるという事なんですが。


後半~


チェルシー選手交代
➇オスカル⇒⑪ドログバ

前半に激しい接触もありましたから、➇オスカルはここでお役御免です。
まあ、この交代も思惑通りでしょう。

後半からはチェルシーは並びを変えてきます。

④セスクをトップ下に上げ、⑦ラミレスをボランチに下げます。
右サイドに㉒ウィリアンを置いて、左の⑩アザールは変わらず。

おそらく、⑰サンチェスへの対策ですかね。
⑰サンチェスにクロスを上げられる事は構わないんですが、中央にカットインされるのは防ぎたい。

て事で、ボランチに⑦ラミレスを置いて、中央への侵入を防ぐ狙いかと思います。


▼明らかに攻撃のテンポを落とすチェルシーと前に出るアーセナル...
おそらく、この試合へのアプローチの段階では、チェルシーも勝ち切る事を念頭に置いていたと思います。

しかし、やはりストライカー不在の影響もあってか、得点が少し難しそうと踏んで、ゲームの中で徐々に守備的にシフト。
後半に入って、本格的に守備に徹する事を決めたように思います。

後半に入るとチェルシーは、ボールを持つ度にゆっくりとしたボール回し。
プレーが切れた時もゆっくりとリスタート。

明らかにゲームのテンポを落としにいきます。

対するアーセナルはこの直接対決をなんとしても勝ち切る必要がありますから、ゲームのテンポを上げたい。
積極的に前に出ますが、チェルシーのブロックをなかなか崩せないまま、ゲームは進んでいきます。


▼3列目の攻撃参加が無いチェルシーはやはり得点は難しいか...
前半からそうだったように、後半も攻撃は2列目以降。
3列目の攻撃参加が無い為、2次攻撃、3次攻撃への繋げる事が出来ません。
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これはチェルシーが右サイドからクロスを上げた直後のシーン。
跳ね返された際、バイタルエリアでセカンドボールを拾える選手がいない為、あっさりと攻撃終了。

押し込む事が出来ない為、「1発」が出ない限りは得点は難しそうな展開。


76分 アーセナル選手交代
㉞コクラン⇒㉓ウェルベック

ここで勝負に出ます。
1ボランチを務めていた㉞コクランを下げるというちょっとした賭け。

システム変更です。
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ボランチを2枚にして、⑲カソルラと⑯ラムジーを並べます。

左に㉓ウェルベックを配置し、⑰サンチェスを右に。
②イバノビッチ、㉒ウィリアン、⑦ラミレスに囲まれた⑰サンチェスを右サイドに逃がします。


しかしこれでも状況は変わらない。


83分 アーセナル選手交代
⑫ジルー⇒⑭ウォルコット

ここでまたもや並びを変えます。
右に⑭ウォルコット、左に⑰サンチェス、トップに㉓ウェルベック。

せっかく右に逃がした⑰サンチェスを左に戻すのは得策では無い気がしますが。。

実際この交代は特に変化をもたらしません。
⑭ウォルコットは引いたブロックを突き崩すタイプの選手じゃないハズ。

外でプレーさせたいチェルシーの思うツボ。


最後はチェルシーが盤石の運び。


90分 チェルシー選手交代
④セスク⇒⑤ズマ

93分 チェルシー選手交代
㉒ウィリアン⇒㉓クアドラード


しっかりと残った交代カードで時間を使って狙い通りの引き分け。
勝ち点差は縮まる事なくスコアレスドローで試合終了です。


【総括】
▼アーセナル
・リーグ優勝をほぼ不可能にする痛い引き分け
・交代策はイマイチだったか
・チェルシーが引く事は想定出来たハズだが、策無し
・⑰サンチェスと㊴ベジェリンはかなり良い出来だった

▼チェルシー
・リーグ優勝をほぼ手中に収める大きな引き分け
・試合の途中でプランを組み立てなおす見事な試合運び
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これでほとんど決定的ですね。
やはり監督の差が感じられたゲームでした。

まあ、僕の若干のひいき目が入っているのは否めないですが。。(^^;)

それでも試合の中でベンゲルの狙いはなかなか見えてこない。

しっかりとリプランニングしないと、チャンピオンズリーグ圏内の争いに影響しちゃいますからね!


メモメモ♫