▼この記事を読むのにかかる時間/約10分
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ちゃらーす☆

ちょっと時間が経ちましたが、先日の日本代表戦の分析です。

どーぞ!笑
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【システムのマッチアップ】
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※図は日本代表側から
青字:日本/黒字:イラク

※試合分析というより、日本代表の分析になる為、イラク側の分析は省略しております。選手もわからないので番号等も省略しております。


▼日本代表
メディア媒体によって見方は様々ありますが。

4-2-3-1

僕はこう捉えています。
(見方によっては2ボランチの4-3-3という見方が多いかと思います)

守備のシステムはこれを基本にして、攻撃の時に陣形がやや3トップに近くなるイメージです。

メンバー的には目新しい所は特に無いですが、以外にも⑪宇佐美は初先発。
往年のメンバーが名を連ねる攻撃陣の中で、どう化学反応を見せてくれるのか。

そして、ハリルジャパンでは初先発となる⑤長友。

最終ラインには⑳槙野。
所属チームの浦和レッズが好調という事もあって、コンディションは良好かと思います。



対するイラクは

4-2-3-1

と、日本と同じシステム。


【注目ポイント】
メディアで色々言われているように、イラクの出来があまりに酷い為、守備面での評価はほとんど出来ないと思います。しかし、連動した守備は出来ていたようにも思えます。

注目は攻撃で、特に前線4人がかなり近い距離感でプレーしています。
クオリティはともかくとして、志向しているフットボールはバルセロナに近いですね。

どの辺がバルセロナに近いのかはこの記事で感じ取っていただければ。

それから、ハリルホジッチ監督は、相手の出方によって攻め手を少し変化させているようにも思えました。
中盤の数的優位の作り方に注目です。
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前半~


▼よりゴールに近い位置でプレーする⑩香川...
いつもの「リンクマン」としての役割よりも、この日はよりゴールに近い位置でのプレーを求められているようでした。
2列目というよりは、1.5列目、場合によっては最前列でのプレー機会が多い。

⑨岡崎が降りて受けた際には、入れ替わる形で空いたスペースに入っていくように、縦の関係での崩しが随所に見られます。


☆ 6分 日本得点:1-0
試合が始まって早速でしたね。
イラクが立ち上がり、かなり浅い最終ラインを敷いてきた事もあって、裏に広大なスペース。
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画像奥のルーズボールに対して、⑦柴崎が前を向いた瞬間、画像一番右の④本田は前方に走り出す体重移動をしていますね。
このまま裏に抜け出してGKとの1対1を沈めて先制。


更に。


☆9分 日本得点:2-0
先制点後すぐでした。
日本の左コーナーから。キッカー⑩香川のボールは誰も触れずにファーサイドまで抜けて、フリーの⑳槙野が左足で押し込んで追加点。


立ち上がり10分間に早くも2点差をつけた日本代表。
試合を優位に進めます。


▼日本の前線はかなり近い距離間でプレー...
日本の攻撃時の並びは3トップに近く、そして各選手の距離が非常に近い中でプレーしていました。
④本田が中央に絞り、⑩香川が高い位置取り、⑨岡崎を含めた3枚が並走。

そして、左の⑪宇佐美は+1という具合に、サイドで1対1に持ち込むようにあえて孤立する時と、中央に入っていって4枚での崩しに参加する時と。

ある程度の自由が与えられているようにも見えました。
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日本の後方からボールが供給されたシーン。

⑪宇佐美はハーフウェイライン上で、少し外れた位置で構えてますね。
プレースタイルからして、守備のバランスを取っているわけでは無いでしょう。

前の3人が敵を押し下げて生まれたスペースに入っていく動きです。


この前線3枚が近い位置取りで崩しにかかるスタイルは、バルセロナと同様です。
ピッチをワイドに広がって広大なスペースで攻め込むのではなく、あえて狭い局面を作り出し、自分たちの得意な足元の技術での勝負に持ち込む。

これは確かに日本にも向いている戦術です。

スペースを広げて1対1の局面を多く作り出したり、サイドのスペースを使うというよりは、敢えて密集を作り出し、俊敏性と技術での勝負に持ち込めば日本に分がある。

もちろん、ボールを失った瞬間は選手が密集しすぎている為、一気に展開されると一時的に数的不利に陥りやすいという問題も当然ありますが。。
(バルサのゲーゲンプレスはそれを防ぐ意味もありますね)


ともかく、この前線の距離感こそが日本の攻撃の生命線になっています。


▼正確なパスとパススピードがあればチャンスはわずか一瞬で作り出せる...
前半14分のシーンから。
後ろでのボール回しのあと、ボランチから矢のような縦パスが入ります。
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わずかに空いている相手中盤のすき間に高速の縦パス。
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これを中盤で受けたあと、すかさず更に前線への高速の縦パス。

結果としてゴールとはなりませんでしたが、このわずか2本の縦パスでシュートチャンスに結びつけます。
正確で速いパスの出し手と、しっかり足下に収められる受け手がいれば、わずかなスペースでチャンスは作り出せます。


▼点を取りたい前線と、日本の縦パスで押し下がるDFラインにギャップの生じるイラク...
早々に2点のビハインドを背負ったイラクの前線は前に出ます。

しかし、日本が繰り返し縦パスを出し入れする為、最終ラインは段々と押し下がる。
すると、前線と最終ラインが間延びして、徐々に中盤にスペースが生まれ始めます。
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イラクが前掛かりになるが、後ろが続かない為、中盤にはポッカリとスペース。
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そこへ縦パスを通して、日本は中盤を制圧。


▼ケアしたいのはバイタルエリア...
日本はほとんどの時間を攻撃で過ごせている為、ひとたび突破されると一気にあわただしくなります。

これは左サイドを突破されたシーン。
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全員の守備意識が高まる故に、全員が引き下がって、バイタルエリアがポッカリ。

あまり多くを求めるのは酷ですが、例えば④本田がサイドを挟みにいくよりは中央に絞ってバイタルを埋めにいくとか。。


バイタルエリアにフリーでボールが入って、日本選手がスライディングするも間に合わず決められて、仰向けに倒れている姿が目に浮かぶ。。


▼引く時は引く...
ちょっとした所で流れは変わるものです。
先ほどのシーンから敵にチャンスを与えた事で少し相手の時間になります。

しかし日本はゲームの運びをわかっているなという印象でした。
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向こうに流れがいった時は一旦引いて陣形を整える。
この嫌な時間帯をしっかり封じる事で、また少しずつ流れを引き戻します。


☆ 33分 日本得点:3-0
中盤での競り合いから、⑪宇佐美が中央に入ってきてボールを受けると、DF2枚を交わして⑨岡崎にラストパス。しっかりと沈めて3点目。


▼⑤長友の攻撃参加を抑制して、右の⑲酒井が攻撃参加...
この日の⑤長友は攻撃参加をほとんど見せません。
何故なら前方に⑪宇佐美がいるから。

恐らく左サイドで⑪宇佐美のドリブルスペースを消さないようにオーバーラップを控える指示があったんだと思います。

そして、④本田が中央に絞ってプレーする事で生まれる右サイドのスペースは⑲酒井が積極的にオーバーラップ。
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前線3枚は近い距離を保ち、右を⑲酒井が攻め上がる事で、⑦柴崎には数多くの選択肢。

まあ、これだけ選択肢を与えれば、⑦柴崎はしっかりと仕事をしてくれますね。


3点差で前半を折り返します。

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後半~


▼相手のシステムを考慮した巧みな攻撃を見せる日本...
イラクは前半の途中からシステムを変更してます。

恐らくそれに対してハーフタイムに監督から指示が入ったと思われます。
後半から日本は、イラクの4-1-4-1システムの弱点を積極的に攻め始めます。
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最終ラインでボールを保持。
ここで注目したいのは画像左から二番目の⑦柴崎の動き。
イラクの2列目の背後にすっと入り込みます。

すると。

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審判のすぐ後ろにいるのが⑦柴崎。
相手の1ボランチに対して日本の選手が二人つく形になりました。


別のシーンでも。
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センターサークルでパスを受ける⑰長谷部は前方にスペースがある事を確認。
パスを引き出して...
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前方に向けてトラップ。自ら持ち上がる事で、ここでも相手1ボランチに対して⑰長谷部と、並走する⑩香川の2人で数的優位を作り出してますね。


これこそが4-1-4-1の弱点、1ボランチの両脇のスペースです。
ここで数的優位を作り出す事で日本は前半以上にアタッキングサードに入り込んでいきます。


66分 日本選手交代
④本田⇒㉖永井
⑩香川⇒➇原口
⑪宇佐美⇒⑭武藤

2列目を一気に入れ替えます。


更に。


73分 日本選手交代
⑨岡崎⇒⑱大迫

75分 日本選手交代
⑰長谷部⇒②谷口


あくまでも親善試合ですから、どんどんテストを回して競争を煽るのは良い事ですね。


基本的に素晴らしい内容で進んでいますが、あまり良くないシーンも少し触れておきます。

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センターサークルすぐ左の➇原口がパスを引き出しますが、右方向に体重移動をしています。

この時チーム全体が前掛かりになっている所で、下がる相手DFラインの前にはスペースがあります。
つまりは、このスペースにつっかける形でボールを受けてほしかったんですね。

一気にギアを上げて攻め込めるチャンスでしたが、スペースに対して視野が確保出来ておらず、敢えて狭い方に流れてしまいます。


それでも。


☆ 84分 日本得点:4-0
これは逆に➇原口の良さが出た得点でした。
後方からのロングボール。こぼれ球にいち早く反応した➇原口が勢いそのままに得意のドリブル。DF2枚を抜き去ってシュート。


このあと、⑦柴崎に代えて⑯山口を投入し、無失点で試合終了。
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いやあ、攻撃陣の距離間を近くするコンビネーション。

そして縦パスの精度とスピード。

相手の出方に合わせた戦術変更。

非常に見てて面白い試合を展開してくれますね、ハリルは。

次回が本番ですから、結果が重視される試合での出方が楽しみです。

メモメモ♫