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連日の厳しいトレーニング。


足が重い。


だが、貴重な実践の場がやってきた。

楽しみにしていたのは、何もサポーターだけではない。

選手たちも同様だった。


「今日はスタンド観戦かー...出たかったけれど、たまにはチームを外から見るのも悪くないかも。」



今季から、黄色の背番号⑩を背負う小さなエースが呟いた。


ヤマト「自分の取り組み方次第で、なんだってチャンスに出来るハズだ。」


若狭「えー。んな事言ったってやっぱり試合には出たいよー。一発目がお預けってのもムズムズするなー。」


苦笑いで若狭が答える。




羽生「...さて、プレシーズン初戦でいきなりコンビ組む事になるとはなぁ。」


ニッコリと笑ってボランチの相棒に問いかける。


勇人「ははは。ほんとッスね。でも、そんな余裕かましてる場合じゃないですよ?俺も、羽生さんもね。」



勇人がニヤリと笑う。



羽生「...ふふ。頼もしいじゃないか。自慢の後輩たちというワケだ。」



ロッカールームの端の方では吉田と比嘉がじゃれ合っている。

吉田が比嘉に、沖縄式の試合前の儀式的なものがあるんじゃないかとからかっている。
ぎゃーぎゃーとうるさい。


岡本が柔らかい笑顔で静かにテーピングを巻いている。




エスナイデル「さあ、試合ダ。足は十分重いカ??」


不敵な笑みを浮かべて、監督が声をかける。


エスナイデル「今日は半分で8人の交代枠を使い切るゾ。余力なんて残す必要ないからナ。」



清武「(...余力も何も、頭から余力がない状態なんですけど!)」



壱晟「(キツイなー、体。...でも、この時期にちゃんとボール蹴れるのはありがたいなー。青森じゃこうはいかないからなー。そのせいか、キツイんだけれど、コンディション的にはそこまで落ちてない気がする...)」




連日の厳しいトレーニングの中、ついにプレシーズンが開幕する。



【システムのマッチアップ】
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黄:ジェフ/白:琉球

システムは3-4-2-1



溝渕「....................................」




勇人「行くぞ!!!」




▼kick off

まずは立ち上がり、両チーム様子を見ながら試合が始まる。

J2のジェフとJ3の琉球。

しかし、琉球の方が積極的に前に出る。
自分たちの力を試すかのように、果敢にチャレンジしていく。


ここでいなせれば良かったのだが、ジェフはかわす事が出来ない。

監督の指示なのか、強めの対応は一歩遅れてしまい、ファールが増えていく。



序盤こそ高めの位置を取っていたジェフの3バックが徐々に後退し始める。

後方でボールを持っても、ビルドアップがなんとも拙い。
攻撃において人数をかけてくる琉球は、守備においても高い位置を取ってくる。


琉球のボランチ2枚はジェフのボランチの位置まで押し上げる。
ジェフは追い風もあって長いボールを送るも収まらない。

奪ったボールを、琉球はGKも使いながら繋いでくる。
とにかく蹴らない。


なんとも落ち着かないジェフ。


しかし、先にシュートを放ったのはジェフ。


ゴール前の混戦から、羽生がボックス左からシュート。
しかしこれは大きく枠を外れる。


羽生「あちゃー...良い位置だったけど...」


勇人「まずはオッケーだ!やり切った攻撃を増やすぞ!!!」



清武「(...うーん。なかなか合わねぇな。パスが微妙にずれるというか...疲労とか技術的な問題っつーより、出し手と受け手とのタイミングの問題というか...連携面ってトコだな。)」



低い位置から徹底して繋いでくる琉球。
ジェフは高い位置からプレスを試みる。

しかしハメられない。


最後の最後、追い込んでようやく蹴らせたところを拾えない。


ジュヨン「(...くっ!!相手の長いパスがこっちのDFラインの手前に落ちる...!!)」


岡野「(...中盤に上手く網を張れてない...前に重心をかけた時の中盤の間延びを突かれてる。)」



それでもジェフにビッグチャンス。

右サイドの⑤多々良から手前の⑦勇人へ。



勇人「...!!!うし、相手の守備の出足が早いなら......!!」


ここでダイレクトで中央にクロスを送る!


前方に重心がかかっていた琉球のDFが一歩遅れる。


吉田「ナイボ!!勇人さん!!!」



⑱吉田がこれを胸で落とす!



そして、ここに走りこんだのは、⑦勇人が蹴った瞬間にゴール前へのランニングを開始していた⑯菅嶋!!!





フリー!!!



左足を振り抜く!!






ばしっ!!!!





しかしこれをGKがセーブ。



菅嶋「!!!!?....あー!くそっ!!!」



なかなか思ったようにボールが動かない中で、ジェフがチャンスを作り出す。

しかし、数分後に均衡は破られる事となる。


琉球が自陣から前線へ長いボールを送る。

この時、やはりジェフの2列目の戻りが遅れる。

琉球はボックス左から中央、バイタルエリアに入ってきた⑱富樫へ。

ペナルティアークでフリーの状態!




羽生「....しまった!!」



横パスにダイレクトで右足を振り抜く。





ドシュッ!!







シュートがゴールネットへ突き刺さる。




実況「ゴーーーーーーーーール!!!!!先制はリズム良く入った琉球ーーー!!!!」



岡本「...................くっ...!」





☆28分 琉球得点:0-1






ジェフの中央の守備が上手く機能していないのは明白だった。

しかし、それはこの日ボランチを務めたベテラン2人の個人の問題とは別だ。


チームとして、全体でどう守るのかが曖昧な印象を受ける。



エスナイデル「すぐに蹴るナ!!後方から繋ぐ事をもっと意識するゾ!!」


GK岡本のゴールキックに関しても、繋ぐ事を要求した。

だが昨年から同じ体制でやっている琉球とでは、その差は歴然だった。


連動した守備で前線から圧力をかける琉球。

ジェフはなかなか思うようにパスを繋げられない。



多々良「......ちっ!外で受けても手詰まりになる...パスコースの準備が遅い...!」



その後も良い形が作れないジェフ。


勝負は後半。




...かと思われたが。


ジェフのゴール前。




混戦からボールを奪う。


比嘉「よし!!クリア...」




ばっ!!!



㉕比嘉がボールを蹴ろうとしたところへ死角から琉球にボールを奪われる。




ガッ!!




モーションを止められない㉕比嘉の足が相手の足に入る。





ピーーーーーーーーー!!!!!!



「!!?」


実況「ピ、PKだーーー!!!」



比嘉「っ.............!!」




やむを得ないPKではあった。

あの状況でモーションを止めるのは不可能に近い。



このPKを冷静に沈められる。



☆45分 琉球得点:0-2



ここで前半終了。




清武「.............はぁはぁ、しんどいな...最悪の出来だ。」



⑧清武が眉間にシワを寄せる。




うなだれる選手たちを見ながら、イメージを膨らませる二人。




壱晟「.................................ちょっと楽しみかも。」



溝渕「.................................燃えてきた。」





続く





※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。