▼この記事を読むのにかかる時間/約7分
051488100705


「ふぃ~、今日も走りますか~...」


バスがスタジアムに到着すると、大きく伸びをして、ジェフのNo.10はそう言った。



遂にJ2リーグの開幕である。



開幕戦の対戦相手は町田ゼルビア。

昨年の成績を見れば、ジェフよりも上位のチーム。





そう。




相手は格上だ。




ロッカールームでも、その事は選手たちに強く言い聞かせられた。





江尻「....格上だぞ。」




選手「......!!」




江尻「今までの歴史とか、そんなものは関係ない。一番最近のチーム成績が最も信憑性があるだろう。格上はゼルビアの方だ。」




選手たちの表情がキリっと引き締まる。



淡々と準備を進めながら寡黙な⑪船山。


新天地での躍動を誓い、逸る気持ちを抑える⑧清武。


キャプテンとして、各スターティングメンバーに声をかける③近藤。



そして。



一つの目標として掲げていた開幕スタメンの座を勝ち取った高卒ルーキー。



㉜高橋。



大舞台で堂々とした活躍を見せて生きた若武者も、順調過ぎる開幕スタメン獲得に、緊張を隠せずにいた。


高橋「(.........本当に開幕スタメンだ...どうしよ、スゲー緊張してきた...!!)」



色んなメンバーが緊張をほぐそうと歩み寄って声をかけていく。

それでも表情はこわばったままだ。





ぽんっ。




一人が㉜高橋の背中を叩いた。





高橋「.....アランダ........!」




圧倒的な経験値を持つ大先輩が背中を押してくれる。


⑭アランダは優しく微笑むと、すぐにキリッと引き締まった表情、目つきを見せる。



何も言葉は無かった。


でも、十分だった。



㉜高橋の目に魂が宿る。




黄色い魂が...




エスナイデル「(................大丈夫そうだナ。ナイスだ、アランダ。)」





近藤「よし、行くぞ!!!!」





▼前半 Kick off

myboard
白:ジェフ/青:ゼルビア

ジェフのシステムは3-3-2-2

ゼルビアのシステムは4-4-2


開始早々、やはりジェフはかなり高いラインを見せる。

ニューイヤーカップやちばぎんカップで見せた通りだ。



敵将の相馬監督もやはりといった表情。



相馬「...ふむ。このライン設定は特に変えずに来たか...プレシーズンで劇薬的に試している可能性もあったが...それなら、そこを突かせてもらうだけだ。」




ゼルビアのトップに入った㉚中島が積極的に裏を狙う。

ゼルビアはボールを奪ったらシンプルに裏目がけて蹴る。



㉚中島がオフサイドにかかる。



近藤「(ビビるなよ...ビビったら負けだ!)」




序盤、シンプルに裏を狙うゼルビアが攻勢に出る。



すぐにでもビッグチャンスを掴めそうな展開だ。




しかしかさむオフサイド。





なかなか上手く裏を取れない。






中島「裏が取れなくても...!!」




中盤でボールを奪うと、前を向いてすかさずシュートを放つ!




サポ「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」





優也「!!?」




すぐさま下がるGK佐藤。


しかしシュートは枠を超える。





優也「(奪われ方と相手へのプレスが甘いとこれもあり得る.....だが俺がここで下がり気味のポジションを取る訳にはいかねぇ。わかってんだろうな、お前ら!)」



最終ラインの裏に広大なスペースがある以上、GKは高い位置を取らざるを得ない。

このロングシュートを警戒すべきはGKよりもフィールドプレーヤー。
簡単にシュート態勢に入られてはいけない。



しかし、なかなか裏を取れないゼルビアは、奪ったボールをすぐに前線に蹴る為、ボールを捨てるような恰好に。



一方のジェフは、前線にボールが送られるとすかさず最終ラインを上げる為、全体が圧縮されてコンパクトな陣形に。

中盤でセカンドボールを拾う機会が増える。



隙を見つけると一気に攻撃に人数をかける。



相手の攻撃を防いで、GK佐藤がボールを持つと...




優也「...!!?(これは行ける!!)」




すかさず左サイドにロングスロー。


㉑サリーナスが前を向いてボールを受けると一気にスピードに乗る。


外に開いた⑧清武にスイッチすると、ここからサイドチェンジ。


清武「...切り裂いてこい!!」




そこに走りこんだのは....



北爪「...ナイスボール!」



北爪がフリー!



そして、ここからアーリー気味にファーサイドへのクロスを放る!





DFの頭上を越えてファーサイドに走りこんだのは...



実況「き、清武だーーーーーー!サイドチェンジの後、すぐにボックス内へーー!!!」



ドンピシャ。






清武「(貰った!!)」




左足で合わせたボレーが完全にミート!






しかし。







ばしぃ!!







清武「...な!!?」






これをゼルビアGK高原がビッグセーブ!









実況「と、止めたーーー!?なんと、あれを止めるかーー!!」




清武「.....にゃろう...!」




高原「大丈夫、大丈夫だ!」



余裕の表情でチームメイトを落ち着かせる。



しかし、内心穏やかではなかった。




高原「(...今のはたまたま手に"当たった"だけだ。完全に崩されていた。一瞬でもバランスを崩せば一気になだれ込んでくる...!!)」





ジェフはコーナーキックでも新しいトリックを見せる。



キッカーに⑪船山。


サポートに⑩町田と㉑サリーナス。



この3人でニアサイドを崩しにかかる!




相馬「....手札が多いじゃないか...!」


苦笑い。



しかし、ゼルビアも黙ってはいない。




「裏にスペースがある状況は変わらないんだ。一発裏を取ってしまえば一気に形勢は変わる!」




中盤でゼルビアがボールを奪うと、プレスに出てきたジェフCBと入れ違うような形で2列目からの飛び出し。


㉙森村が裏を取った!



㉑サリーナスが並走するも、ボックス内に侵入。




森村「(貰った!!)」




バウンドするボールに右足を振り抜く!



しかし、㉑サリーナスが密着していた事もあってボールにミートせずに倒れこむ!





笛は...!!






「鳴らねぇ!!!!」





なんとかピンチを凌いだジェフ。






そして歓喜の瞬間は40分。





右サイドで④北爪がボールを引き出す。




ここから、⑧清武がボールを受けに下がってくるような動きからサイドに流れてランニング。




ここでアイコンタクトを送る。






清武「(ケンゴ!わかるよな...!!)」




背番号⑩は感じ取っていた。


この⑧清武の"アシスト"を。





2列目から猛然と最前線に駆け上がってくる!




ヤマト「....ゼェ、ゼェ.......」





北爪「!!?(こうき君がCBを引き連れて外に逃げて、中央が空いた!!)」



左足で裏に柔らかいボールを送る!





⑩町田が一気に抜け出す。




ボックス右に侵入すると、キックフェイントで左足に持ち替える!




DFとGKがファーサイドへのシュートを警戒する。



ヤマト「(........!!空いた!!!)」



DFの隙間を見逃さなかった。



DFをブラインドにしながら腰の回転でニアサイドを射抜く!!




GKが立ち尽くす。







ふぁさっ.....







ゴールの中で転がるボール。






アウェイ自由席、爆発!




サポ「ヤマトぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」





実況「ゴォォォォォォォォォォォォォォォォル!!!!!先制はジェフ千葉ぁぁぁ!!」




ヤマト「っっしゃーー!!」





咆哮する。







J2開幕節。



格上、町田ゼルビアとの一戦。



先制点を挙げたのは千葉の新たなる背番号⑩。






町田也真人だった。








そして。






その姿を見て、心の奥底で火がついたような感覚を覚える男がいた。






高橋「........凄い...!」 







続く





※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。