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J2リーグもいよいよ開幕を迎えた。

ジェフ千葉の相手は町田ゼルビア。


昨シーズンの成績から言って、"格上"だ。



相変わらずのハイラインでリスクのあるフットボールを展開しているジェフだったが先制。



ゴールネットを揺らしたのは新たなる背番号⑩。

町田也真人だった。



1点をリードして前半を折り返す。





ロッカールーム。




多々良「ヤマト!!よくやった!!」


サリーナス「good!」



③近藤とGK佐藤が修正の為、後半に向けて話し込んでいる。





パンパン!



監督が手を叩いて選手を集める。




エスナイデル「良い前半だったナ。試合が始まってから慣れるのに少し時間がかかったが、ほとんどを我々の時間で過ごせタ。悪くない出来ダ。だがしんどいのは後半からダ。気を抜くなヨ!!」




「おしっ!!」





気合十分だ。




ヤマト「イッセー!!」



高橋「...??」



ヤマト「わざわざ言うまでも無いだろうけれど、遠慮なんていらないからな。やりたいようにやれ!みんながサポートしてくれる。上手くいかなかった時はドゥーさんあたりに任せとけば良いんだ(笑)」



ニコっと微笑んで見せる。



近藤「おいヤマト!もっと敬意を持って言えないのか!?」



ヤマト「へへ。頼りにしてますよ♪」




㉜高橋はなんとなく肩の荷が下りたような気がした。




高橋「...............よし。」






▼後半Kick off

後半に入ると、ゼルビアは少しボールを収めるようになる。


ジェフの最終ラインの裏一辺倒の攻撃から、中盤でボールを引き出す形も見せ始める。


㉚中島がトップから降りてきてボールを引き出す。


ボールの収まりどころを得た事で、ゼルビアは自分たちの時間を増やしていく。



相馬「裏に隙があるのは確かだ。最後はそこを取りに行く。ただ、裏を取るまでのプロセスが前半は悪すぎた。セカンドボールを拾えない状況で裏にボールを送るのはあまりにも単調過ぎる。」




いざ裏を取りに来るときも、2列目からの飛び出しを徹底していた。


徐々にゼルビアのゴールの可能性を感じさせる。



しかし、最後の最後、GK佐藤がエリア外での積極的な処理で凌ぐ。



ジェフも奪ってからのカウンターの形は健在。



前線に控えるボックス4枚に関しては互いの距離間良く、ボールが出れば一気になだれ込んだ。


2トップがボールを受けに下がってきたかと思えば、すかさず⑩町田が綻びの生じた裏のスペースへランニング。

鋭いカウンターを繰り出し続ける。



ゼルビアがより組織的に攻撃を仕掛けてきたことで中盤の攻防が激化したが、ここで存在感を発揮し始めたのが㉜高橋。


⑭アランダの脇に降りて来ては守備と攻撃の両面でサポート。

前線へのつなぎ役に入ったかと思えば、しっかりとゴール前にも顔を出す。



アランダ「(イッセー...落ち着いてきたじゃないカ!)」



サリーナス「(イッセー、かなり気が利くな...いて欲しい所に絶対にいる感じダ。)」




⑧清武も相手に脅威を与え続ける。



船山「(こうきの奴、やっぱ上手ぇな...ボールが収まるし、技術も高いから安心してボールを預けられる。)」




しかし、運動量を要するこの布陣。


交代カードを積極的に切る。



67分 ㉝西野 → ㉔イジュヨン

70分 ⑪船山 → ⑨ラリベイ

77分 ⑧清武 → ㉒羽生




清武「はぁぁーー!!疲れたーー!」



かなり足にきていた模様。




ひとしきり仲間との挨拶を終えると、ベンチに深々と腰掛けた。






...だがここから、ベンチで戦況を見つめながら目を奪われていくのであった。







この時間からもまだ躍動する背番号⑩に。







全体の運動量が落ちてきて、徐々にジェフの最終ラインの押し上げも遅れ始める。



最終ラインが高く保てないとなると中盤が間延びして、支配していたセカンドボールがゼルビアにこぼれはじめる。



攻撃に移っても、中盤でボールを追い越していく体力が無い。





前線、サイドのスペースめがけて蹴るシーンも目立ち始める。








だが、それを追う。




ジェフの背番号⑩はそれを追う。



相手DFの方が先にボールに触れる状況でも追う。




相手をサイドに追い込んで、前を向かせないように圧力をかけて、スローインを獲得する。




そんなひたむきなプレー。


先頭を走り続けるのがエースナンバー。







ヤマト「ぜぇ...ぜぇ......」




ベンチで見ている⑧清武は戦慄を覚える。



清武「...まだ走れんのかよ.....この試合唯一の得点者だぞ?...奢りのかけらもねぇ...」





驚きながらも、ずっと目で追っていた。


この時間もまた、選手を成長させる。


これが後々、⑧清武の成長の礎となっていく。







だが終盤、ホーム開幕戦で何とか勝ち点を得ようと、ゼルビアが最後の猛攻を仕掛けてくる。





中盤である程度ボールを握れるようになったゼルビアは、ジェフの最終ラインの裏にある広大なスペースではなく、じりじりとジェフ全体を押し下げ始める。


特に右サイドの連携から、ジェフのCBをつり出し、入れ替わるように2列目からの飛び出しでジェフのボックス内に侵入していく。


再三に渡りサイドを崩されるジェフ。



優也「じり貧だ...だがここでやられるわけには...!!」





この戦況を見つめて、一人の男が呟く。


「ジェフの最終ラインの裏には広大なスペースがある。裏を取られればGKと1対1。ほとんど失点を意味する。相手としては当然そこを突いてくる。」






「......しかし。」


 


「それは、ジェフにとってもわかり切った形。何度も、何度も練習している形であり、これから試合を重ねれば経験値も積んでいく。」






「冷静にシステムのマッチアップを見ると良い。原点に立ち返れば、ジェフのどこに綻びが生じるのかが見えてくる。ポイントは"数的優位"。これをどこで作り出すかが戦術的原点だ。」





眼鏡をクイっと上げて。

長髪が風に揺れながら、鈴木隆行は言い放つ。





鈴木「ゼルビアの方がサイドで数的優位を作りやすいハズだ。」




鈴木「ジェフの純粋なサイドプレーヤーはWBだけ。一方のゼルビアはSBとSHがいる。ジェフの最終ラインの裏のスペースに目を取られがちだが、実はサイドもジェフの泣き所なんだ。」



そのサイドで上手く起点を作りながら、ジェフのCBをつり出した所で裏を取る。


裏を取るにも一工夫を加える事でゼルビアが猛攻を仕掛ける。





だがジェフも譲らない。




幾度もシュートを許すが、すぐさまボールへ寄せる。

シュートコースを塞ぐ。




ゲームは90分を超える。






アディショナルタイム。





高橋「.........うっ!!」




ここで高橋の足が攣る。



初のプロのリーグ戦。


足は限界を迎えていた。





相馬「......確かに高校で相当走ってきただろう。東北で冬はフィジカルメニューが多かったとも思う。しかし、プロの試合は90分走るだけじゃない。同時に"強度"が求められる。走れれば良いってもんじゃない。」




㉜高橋は悔しさを滲ませる。




高橋「...クソ!重要な所で足を引っ張る訳には.......」






ゼルビアの猛攻は続く。




死力を尽くして最終ラインを押し上げるジェフ。



しかし、ここでまたもゼルビアが裏に抜け出す。





万事休す。






「ビビるな...ビビるな....変わらずやれ!!」








ズシャアァァァ!!!






裏に抜け出るボールを間一髪でクリア。







近藤「優也!!!」



GK佐藤優也が間一髪の所でスライディングクリア。





優也「ここで引き下がるわけには...!!」







だが4分あるアディショナルタイム。





ここで終わるはずもなかった。






左サイドをゼルビアの㊴重松が抜け出る。


またも2列目からの飛び出しでサイドを破る。





これを折り返す。





ばしっ!!






なんとかジェフのDFが体に当てる。







しかし。









バイタルエリアにこぼれたボール。







ポツリと孤立していたのは⑤深津。





多々良「なんでヤツがそこに!!?」





ボックス内に侵入!






GKと1対1。






⑤深津は落ち着いて左足で流し込む。







優也「と、届けーーー!!」





GK佐藤が手を目いっぱい伸ばす。






しかし、GK佐藤の指は届かない。














すっ.....












シュートはゴールポスト左を抜けていった.....





深津「......な...!?」







実況「は、外れたーーーーーーーーーーーー!!!!!!」







愕然とする⑤深津。



地面を叩いてガッツポーズのGK佐藤。









羽生「逃げ...切った.........!」






ピッピッピーーーーーーーーー!!







試合終了。






0-1





アウェイのジェフ千葉が、⑩町田也真人のゴールで逃げ切って、開幕戦白星を飾った。





Fin



 ※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。