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ハーフタイムのロッカールーム。



エスナイデル「よーシ。悪くない前半だっタ。我々のゲームだっタ。後半、体力的にも厳しくなるとは思うが、スペースが生まれるのは向こうも同じことダ。上手くスペースを見つけるようニ。」



開幕から2戦目の前半を終えた所だが、選手たちも前節に引き続いてある程度の手ごたえを感じていた。


かなり新しい戦術だし、チャレンジングな戦い方だけれど、ハマれば凄いかもしれない。

課題は山積みだけれど、それでもかなり崩せる所まで来ている。







----オモシロイ!!






近藤「西野!今回は足は攣らないか?」



西野「大丈夫です!やります!!」


力強い言葉だが、表情は苦笑い。
前節の雪辱を晴らしたい所。


近藤「まあ、かなり向こうの攻撃の比重が大きいようだが、しっかりと対応出来ているんじゃないか?ウチのキングコングの方がよほど危なっかしいぜ(笑)なあ、優也?」



優也「やかましいッスよ...!」



GK佐藤をいじって場を和ませる。
しかし、すっと佐藤に近づくと、小声で耳打ちした。


近藤「.....優也。後半、西野の所のカバーは注意しておいてくれ。」


優也「....わかってます。」





▼後半Kick off


選手交代は無し。
前半と同じメンバーで後半戦を迎える。


だが後半立ち上がり、先にチャンスを掴んだのは山形の方。

㉑サリーナスのクリアミスを山形が右サイドで拾うと、そこからアーリー気味にクロスを放る。


ジェフの陣形が整っていない。


中央の選手に渡る。



胸トラップからボレー!!




優也「..............!!!?」



しかし、これはジャストミートせず。




枠の左に逸れる。



実況「あーーーーーっと!!わずかに枠の左ー!!惜しい!!」




多々良「ウチの左サイド。つまりは向こうの右サイド、⑨瀬沼の所を起点にしてくるな。。
こっちサイドからのカバーリングも考えておかないと...」




後半もやはり山形は右サイドを起点にする事が多かった。




木山「前節、西野は途中交代。交代で入った選手はイジュヨン。どちらも高さはあってもスピードに欠ける選手だ。ここへは地上戦で仕掛け続ける。
それに瀬沼もある程度の高さはある。西野といえど、競り勝つにはフルパワーのジャンプが必要だ。ただでさえラインの上げ下げで足に来る所だ。ここを攻めない手は無い。」




53分。

またも右サイドでボールを持つ山形。

㉑サリーナスが猛然とチェイス。
かなり厳しいプレッシャーをかけるも、これを山形が掻い潜る。

ここで⑨瀬沼が外に開く。



西野「(この人、なんかやりづらいな....!)」



㉑サリーナスは激しいチェイスをいなされてガス欠気味で歩いている。


外に開いた⑨瀬沼に対応した事で、㉝西野と中央の③近藤の距離が広がる。



⑨瀬沼にパスが出る。



西野「外でハメる!!」





しかし。





ここで⑨瀬沼と㉝西野が入れ替わる。





西野「!!?しまった...!!」



③近藤との距離も空いている為、ヘルプに誰も入れない。




サイドをぐんぐんえぐられて中央への折り返し。




⑤多々良も絞ってきている。








多々良「なんとか中央をヘルプしねぇと...!!」






しかし、ここで中央から更に外にパスが出る。






多々良「!!?」






大外で待っていた⑪阪野がフリーだった。





木山「貰った。」





ふぁさっ...






アウェイ自由席、爆発。





「きたーーーーーーー!!!!」






実況「ゴーーーーーーーーーーール!!!!先制はアウェイ山形だーーー!!!」





優也「くっ.......」







西野「すいません.......」




近藤「違う。お前だけじゃない。確かにあそこで入れ替わられるのも問題だが、向こうが組織的にこっちの守備連携を崩しにきた。」



前半、良い形を作れていただけに勢いを削がれる形になってしまった。





勇人「落ち着け!!!まだ40分近く残ってんだぞ!!」




ベンチから⑦佐藤勇人が叫ぶ。





エスナイデル「.........うむ。攻撃の形が速攻しかなくなっていル。これではじり貧だナ.....」



交代。




呼ばれたのは⑮熊谷アンドリュー。



熊谷「.......うし。前節は出れなかったからな。」





55分

㉜高橋 → ⑮熊谷



エスナイデル「壱晟.....もっとやれるハズだゾ。」




高橋「!!」



ベンチに下がる㉜高橋と握手をかわしながら、監督はそう言った。



だが㉜高橋にはわかっていた。


これは叱責ではない。



期待であると。




ベンチに腰掛けると、拳を握りしめて、その手は少し震えていた。




溝渕「(.......ふーん、やっぱり見かけによらず熱いジャン。)」





交代で入った⑮熊谷が気合の入った守備を見せる。



熊谷「(戦えない奴はこのチームに居場所なんてねぇ!!)」




下がってボールを引き出すというよりも、自信も高い位置へ積極的に出ていく。


高い位置でボールを受けては捌く。



ジェフのプレーエリアを高くし、相手を敵陣に押し込める。





60分。

積極的なプレスを高い位置からかける。




アランダ「.........!ここダ!!!」



相手の一瞬の迷いを察知するとすかさず襲い掛かる。




敵陣でボールを奪取する。




山形は陣形が整っていない!!



中央の⑪船山を経由すると、右45度の⑨ラリベイにボールが渡る。








「フリー!!」





まずはトラップ。



そして右足を振り上げる。





「トラップが余計だったな!!」




山形DFが猛然と追いつく。






ズシャァァァァァ!!!!




シュートブロックのスライディング!




しかし。





⑨ラリベイはシュートモーションを止め、ボールを手前に引く。




ラリベイ「甘イ。」





ガッ!!!






⑨ラリベイが倒れる。






ピーーーーーーー!!!!





強いホイッスルの音と共に、主審がペナルティスポットを指す。




実況「あーーーーーっと!!!山形、痛恨のファールーーーーー!!!」






アランダ「さすがだナ。」




起き上がった⑨ラリベイが真っ先に⑪船山の元へ寄っていく。



ラリベイ「キッカーはお前ダ。」



船山「!!?」




自身が貰ったPKを⑪船山に譲る。


恐らくチームで決まっていた事だろう。


だとしても、⑨ラリベイには迷いが無かった。




鋭い眼光でゴールを見つめる⑪船山。



船山「(..........久しぶりだよ。"勉強になる"と感じさせてくれる相棒は!)」




世界を舞台に活躍してきた⑨ラリベイ。


強さ、技術、駆け引き。

そしてこの懐の深さ。




"ありがたい"と。



素直にそう感じていた。




ピーーーーー!



⑪船山が助走に入る。



フッと一息ついて強く蹴りこんだシュートが......










GKの逆を突いた。






実況「ゴォォォォォォォォォォォォォォォォル!!!ジェフ千葉同点ーーーー!!!」



素早く⑪船山がボールを拾ってセンターサークルへ。






船山「ラリベイ!!次、行くぜ!!!」





振り出しに戻ったゲーム。



再び試合は拮抗する。

 


ジェフは相手WBをつり出しては、前線の4枚が流動的に空いたサイドのスペースへランニング。
ボールを引き出す。



だが崩しきれない。




74分

⑪船山 → ⑧清武


船山「あーーーーー!!クソ!!もっとやりたかった!!!」



得点を決めたものの、どこか悔しそうな⑪船山。


勇人「(不満そうにベンチに下がるのはいつもの事だが.....今日はなんだか違う雰囲気だな。)」



佐藤勇人が微笑ましくその光景を見ていた。



⑪船山はベンチで⑨ラリベイのプレーを追う。


その⑨ラリベイにボールが渡る。



左のスペースに抜けると、相手DFと1対1の勝負。



右に切り返す!!


右足でカーブをかけてゴールを捉える為にターンしたと誰もが思った。



しかし。



クイッ!



相手DFが体を反転させた瞬間に再び縦に突破。




「!!?」





完璧に抜き去る。



角度がないものの、左足でシュート!!








グッ!!




しかし山形GK児玉が何とか足を出してセーブ!






悔しがる⑨ラリベイ。




船山「(スゲーリズムだ...)」





しかしスコアは動いていない。

山形も黙ってはいなかった。





途中交代で出場した山形期待の若手、㉕汰木が魅せる。



ジェフが9人を敵陣にかけた所、ボールを奪うといち早く反応した㉕汰木にボールが出て独走。



近藤「!!?」


多々良「...これはマズい.......!!」



スピードに乗った㉕汰木に誰も追いつけない。




一気にゴール前まで。



「まだだ.....」




ボックスに侵入!




GKと1対1になる!






優也「ここだ!!!!」




㉕汰木がもう一つ運ぼうとドリブルした瞬間に両手を大きく広げてGK佐藤が飛び出した。









ガシッ!!





汰木「.....!!?」




実況「セーーーーブーーーーーーー!!!!」








佐藤優也、ビッグセーブ。





優也「なんとか凌いだか...」






しかし。


この男、まだまだ止まらない。




④北爪が上がってボールをチェイス。


⑩町田が下がってケア。



その後方に㉕汰木のマークにつく⑤多々良。





㉕汰木が中央に絞っていく。



そっちは③近藤のマーカーがいる。


ここで入れ替わるかに見えたその瞬間。




汰木「(........よし、釣れた!!!)」








一気にギアを上げて再びサイドに広がりながらトップスピードに乗る。


入れ替わると思って中央に絞った⑤多々良の対応が遅れる。






実況「汰木、またも左サイドを独走だーーーー!!!!」



先ほどと同様の形。


しかしややサイド。





中央を駆け上がる味方にグラウンダーのクロスを送る.....!





優也「.........くっ、これは...!!」




GKの対応も間に合わない。









バシィ!!







「!!?」






ボールが...





外へ。




「西野!!!」






西野「....ぎりぎり、間に合って良かった...」




中央を真っすぐ下がってきた㉝西野がスライディングでクリア。





終盤に出場した㉕汰木に苦しめられる。


しかしこの後、間延びした両チームのカウンターの打ち合いがありながらもスコアは動かず。






ピッピッピーーーーーーーーー!!





試合終了。




1-1



ホーム開幕戦を勝利で飾る事は出来なかったが、チームの確かな進歩をサポーターは目の当たりにした。








中西「.............ふふ。良いもの見せてもらったよ、ジェフ。今後が楽しみだ。」











Fin



 ※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。