▼この記事を読むのにかかる時間/約10分
71489227465


"格上"、名古屋グランパスを押し込んだ前半。


攻勢でもなかなか得点をあげられない展開の中、終了間際に試合を動かしたのは今季からレンタルで加入した㉝西野だった。






ハーフタイム




多々良「おいおいおい、やるじゃねぇかよタカハル!」



守備の要として奮闘する⑤多々良も興奮気味だ。
この日はいつもより近くでプレーしている事もあって、後輩の事を気にかけていた。






西野「.....ありがとうございます。前節が.......ちょっと俺の中でも不甲斐なかったんで...何度もセットプレーからのチャンスもあったのに決めきれてなったし。結果出せて良かったです。」




㉝西野は精神的にナーバスになっていた。
前節、後半に余りにも狙われ、スピードの無さを突かれ、体力的にも持たなかった事。


誰よりも本人が悔しい想いをしていた。




だが、割り切るしかなかった。




願えば明日にでも足が速くなるわけではない。




自分にあるもので戦うしかなかった。





無いものねだりをしている時間などなかった。



今あるもので戦おう。




秀でている部分で仲間を、チームを助けよう。







この1週間で、㉝西野は精神的に一回り大きくなって帰ってきた。






エスナイデル「タカハル!良かったゾ!!得点を決めたからじゃなイ。空中戦でほとんど勝ったんじゃないカ?少なくとも私の目に、お前が負けたシーンは写っていなかっタ!それで良イ!!」




西野「..............!!」






㉝西野の顔がほころぶ。







その様子を脇で見ていたこの男も自分の気持ちを押し殺すように大きく息を吐いた。






清武「(...............まだか。オレの出番はまだかよ.....!)」







【システムのマッチアップ】
myboard
黄:ジェフ/赤:名古屋








▼後半戦Kick Off



後半に入ってもジェフの優勢は変わらなかった。



互いに選手交代は無し。



名古屋は前半立ち上がりほどのプレスを見せられなくなっていた。







「まあ、そうだろうな。プレスをかけてもジェフはそれを掻い潜ってくる。プレスをかけても無駄だ。報われない。そう選手が思ってしまうのも無理はない。それだけジェフは準備をしてきている。ここでハメられるようでは、我々のこの戦い方は成立しないからな。」





スタンドでそう呟く。







長谷部「.......前半に植え付けたイメージは、後半も持続する。」





スタンドで観戦していた長谷部コーチが表情を崩さずに見つめる。






ジェフは、詰まった時の決まりごとがハッキリとしていた。



右サイド。




タッチライン際にポジションを取った④北爪。
最終ラインからここにボールが出ると、名古屋は中央を切りながら猛然とプレス。



昨シーズンのジェフはここで手詰まりになっていた。




しかしここで、④北爪は迷わずインサイドの位置にダイレクトでボールを送る。


ここで⑩町田にボールが収まる。

これは決まりごとのようだった。



外でどうしても手詰まりになる所、インサイドが降りてきてボールを受ける。
ダイレクトのタイミングでこの位置に人が入る事が決まり事になっており、④北爪は前線を確認する余裕がなくてもこの位置にボールを送る。



名古屋は外でハメて取り切るつもりだったが故に、インサイドにボールが収まると中央はがら空きだった。






これでジェフは中盤を支配出来る。




ぽっかりと空いた中央のスペースを、⑭アランダを中心に使っていく。





しかし、やはり体力を失っていくのはジェフも同じ事。






熊谷「..........ぜぇ......ぜぇ.....」






アランダ「(アンドリューのヤツ、かなり息が上がってきているナ.......まあ、無理もなイ。スタメンで出るのは練習よりも遥かにキツイ。これは慣れが必要ダ。しかも、サリーナスの裏のスペースを気にかけながらダ。)」




㉑サリーナスの後方のスペースをケアしながら、常にボールを受けられる位置に移動して構える。
ボールが動けば再び動き直して構える。



この連続だ。



長いスプリントは無くても、着実に体力を消耗していった。






56分
⑮熊谷 → ㉒羽生




熊谷「........ぜぇ.....ぜぇ.......クソ...」




せっかくのスタメンも途中交代となり悔しそうな⑮熊谷。



交代で出た㉒羽生がベンチに戻る⑮熊谷の様子を見て一瞬ほほ笑む。




羽生「.........それで良い。」








そして気持ちを入れ直してチームメイトに檄を飛ばす。





羽生「さあ、ここでだれるわけにはいかないぞ!!!」








60分


自陣で㉑サリーナスがボールを奪うと、すぐさま逆サイドを走り出していた⑪船山にサイドチェンジが通る。



戻り切れていない名古屋はDFの枚数が足りない。




⑪船山を追って、⑩町田も走りこむ!





ボールを持ちながら駆け引き。






パスか。





シュートか。






そして選択したのはシュート!





船山「(この状況ならリバウンドもあるだろ!!!)」








ドシュ!!!







⑪船山が放った抑えの利いたシュートは無回転!









楢崎「...ぐっ!!」







バシィ!!









正面ながらも無回転シュートにキャッチは出来ずはじく。









しかし、はじいた先にジェフの選手はいなかった。







実況「あーーーーーーーっと、決めきれないーーーー!!楢崎、はじく場所も計算通りーーーー!!!」






船山「...................やろう...!!」










追加点、ならず。







66分
⑪船山 → ⑧清武




船山「......................ちっ...」





交代にうなだれる⑪船山。




⑧清武は気合十分だ。








早速。





名古屋がスルーパスからゴール前に抜け出る所、㉔イジュヨンが素晴らしいタックルをお見舞いする。





ジュヨン「........よし!」





優也「でかしたジュヨン!!」




ここからすぐさま最前線を見据えるのが今季のジェフ。






多々良「カウンターー!!!」




右サイド、最前線を駆ける背番号⑧。






清武「おーーーし!早速来た...!」





ここから、ニアサイド、ボックス内に侵入した㉑サリーナスにパスが出る。







これを落とす。





そこに㉒羽生。







羽生「.................!!」







フリーの㉒羽生。



慌てて名古屋DFが迫る。





シュートだ!!






......誰もがそう思った。





しかし。








フワっ...





ファーサイドにクロスが送られる。










ラリベイ「.......よく見えているナ!!!」










完全にフリー!!








胸トラップからシュート!!











ドシュ!!!












ガシィ!!!







しかし、これを名古屋DFが執念のブロック!!








ラリベイ「...ナっ...........!!!」










追加点、ならず。








76分
㉑サリーナス → ⑰ 大久保






長谷部「...そうだね監督。さすがに隙は残さないね...!」




スタンドで見つめる長谷部コーチも納得の表情。






ジェフも体力的に厳しくなってくる時間帯だ。










しかし、それ以上に運動量の低下が目に見えるのは名古屋だった。


明らかに全体が間延びしている。









1点をリードするジェフが畳みかける。





④北爪からの⑩町田のシュートはGK正面。




バイタルエリアで素晴らしい駆け引きとテクニックを見せた⑨ラリベイが倒されるもノーファウルの判定。







ーーーーー決めきれない

 




サポーターの脳裏に、苦い記憶が呼び起こされる.............















..................しかし。


















『WIN BY ALL!!  WIN BY ALL!!!!』








スタンドから鳴り響く"WIN BY ALL!"











........もちろんサポーターに不安はあった。













だが、こんなにもドキドキする。











....グッとくるフットボールを目の前にして。














サポーターは叫ぶ。









「全てを懸けて勝とう!」と。









スタンドからの夢を乗せて。







エースナンバーが裏を抜ける。








そして。












背番号⑧が。







ボールをゴールに置いて。















ーーーーーーーー黄色いスタンドに向かって駆け抜けていった。













試合終了




2-0






ジェフユナイテッド市原・千葉






勝利












反町「...........なるほどね。」






Fin



 ※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。