▼この記事を読むのにかかる時間/約8分
前半を折り返してハーフタイム。
ロッカールームで静かに監督が話し始める。
エスナイデル「........全然ダメダ。失点のシーン、特に良くなかっタ。あれは一番やってはいけない形ダ。ボールホルダーを取り囲んでおいて、人数がいる事に油断をしタ。"自分が何が何でも止めるんだ。"という覚悟は無かっタ。なんとなく守備をしていタ。その結果ダ。」
少し静かなロッカールーム。
江尻コーチも腕組みをして黙り込んでいる。
江尻「(監督の言っている事は正しい........お前ら選手が、どう受け止めるかだぞ。これを受け入れられないようじゃ、お前らはプロとしては難しいだろうな....)」
近藤「......とにかく、点を取らなけりゃ始まらねぇ。後半で巻き返さねぇと...!相手は前に出てくるタイプのチームだ。突き崩すチャンスは見出せるハズだ。」
今季初の先発となる㉕比嘉は、今一つしっくりきていなかった。
比嘉「(........ち。やっぱり感覚にズレを覚える。だが前半で掴んだものはある。後半はもう少しゴールに向かっていかねぇと...!)」
ハーフタイムが明けてピッチに選手たちが戻ってくる。
中西「.....ジェフの問題は守備じゃないと思っているよ。どちらかといえば攻撃に問題がありそうだな。」
中西「最終ラインはよくやってる。もちろんまだまだ足りない部分も多いけど。だが成長は外から見てても感じる。..........問題は攻撃。なんで中盤で手詰まりになるか、その本質をちゃんと捉えねぇと...」
うーん、とため息をついて、話を続ける。
中西「ジェフは相手のプレスに捕まって、中盤で前を向かせて貰えていない。なんでそんな状況にあるかって事をよく考えないといけない。
中央で繋がらないならサイドが空いているハズだし、ディフェンスラインが前に強く来るのであれば、裏は取りやすいハズ。
相手のラインが低ければ、ゴール前にハイボールを放り込むなりして、セカンドボールを拾えれば即ゴール前だ。
そういった、何がどう連動してくるのか、どこを動かせば何が引き起こるのか。
本質を捉える力がないとゲームは動かせない。」
選手たちを送り出した監督もベンチに腰掛けながら同じ事を考えていた。
エスナイデル「(.........例えば日本人はどうにもロングボールに対してネガティブなイメージを持っていル。ロングボール=悪と考える節があル。だが、ロングボールにだってメリットがある事を忘れてはならなイ。
一発で裏を取れるならそんなに楽な事は無いし、ショートパスを繋ぎたければロングボールで相手のシステムを間延びさせる必要だってあル。だが、目先のショートパスに拘って、その本質を捉えられないのが日本人の悪い癖ダ。」
"裏を取ろう!"
例えば監督にそう言われて裏ばかり狙うのは二流だ。
一流は裏を取る為には何が必要なのか、目的を達する為にはどうすれば良いか。
その本質を捉えられるものだ。
難しい戦術を与えれて、それをただ愚直に繰り返すだけではまだまだ。
その本質を捉え、自分たちで考えられるようになる事を、求められる戦いが始まろうとしていた。
▼後半戦 Kick Off
㉜高橋 → ⑥山本
後半の頭から選手交代。
⑥山本を投入してのスタート。
早くも迎えた大きな壁。
しかし、そう簡単に改善されるものではなかった。
序盤は積極的にプレスに出てきた湘南も、全体のブロックをリトリート。
ボールを失った瞬間は3トップを中心にチェイス。
ジェフがボールを落ち着かせると一度全体をリトリートして、ブロックを形成。
そして、そこからジェフが中盤にボールをつける度に素早くアプローチをしていく。
中盤で前を向けないジェフは後方でボールを回す事に終始し、痺れを切らして無理に縦へ突破しようとすると湘南のプレスに捕まりボールロスト。
その上、湘南の守備組織は洗練されていた。
前に強く出る際、空いたスペースを周囲がカバーするような連動性を絶えず見せていた。
中西「5枚で最終ラインに蓋をする。そして、目の前にボールが出てきたら素早くアプローチ。その瞬間に周囲がスライドして空いたスペースの穴埋めをしている。見事だ...」
⑪船山が裏を取る動きを見せるも、なかなか質の高いボールが出てこない。
曺「裏を取られると前に強く出れなくなるからな....それをさせない為に3トップがプレッシャーをかける。」
59分 ⑪船山 → ⑨ラリベイ
72分 ㉑サリーナス → ⑱吉田
交代によって攻撃の活性化を図るものの、徐々に時間だけが過ぎていく。
サイドで人数をかけた時には良い攻撃になった。
湘南のWBとサイドCBの2枚に対して、ジェフのWBとインサイドハーフ、2トップの一角の3枚が絡む事で数的優位を作り出し、サイドを抜ける。
しかし。
実況「おぉ!!ジェフがサイトを突破、クロスが上がるーーーーーー...........!!!
...........しかし合わないーーー!!!!」
ファイナルサードでのプレーの精度を欠く。
すると76分。
中盤、やはり捕まるジェフ。
攻撃に出ていた㉕比嘉の裏には広大なスペース。
そこに長いボールが出る。
ペナルティエリア右手前まで一気に侵入!!
優也「..............戻りきれねぇ...!!」
ドン!!!!
トラップせず、駆け込んだ勢いそのままにバウンドしているボールを強く蹴りこむ。
Gk佐藤の頭上を越えたボールがファーサイドネットに突き刺さった。
実況「ゴラッソォォォォォォォォ!!!!湘南追加点ーーーー!!!!」
同じようなハイプレスを標榜する湘南。
しかし、当然のことながら、その完成度には大きな差があった。
清武「.....はぁ.....はぁ.............くそ。」
ピッピッピーーーーーーーーー!!!
試合終了
2-0
湘南ベルマーレ勝利
うなだれるジェフの選手たち。
開幕戦後の調子の良かった雰囲気は一変し、どうしたらよいのかわからなくなっていた。
試合後のロッカールームで監督が選手たちに告げた言葉はシンプルで短いものだった。
エスナイデル「................こんなものカ?」
エスナイデル「...............覚悟が足りなイ。圧倒的ニ。
サッカーに対してじゃなイ。
試合に対してじゃなイ。
一つ一つのプレーに対してダ。」
Fin
※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。
前半を折り返してハーフタイム。
ロッカールームで静かに監督が話し始める。
エスナイデル「........全然ダメダ。失点のシーン、特に良くなかっタ。あれは一番やってはいけない形ダ。ボールホルダーを取り囲んでおいて、人数がいる事に油断をしタ。"自分が何が何でも止めるんだ。"という覚悟は無かっタ。なんとなく守備をしていタ。その結果ダ。」
少し静かなロッカールーム。
江尻コーチも腕組みをして黙り込んでいる。
江尻「(監督の言っている事は正しい........お前ら選手が、どう受け止めるかだぞ。これを受け入れられないようじゃ、お前らはプロとしては難しいだろうな....)」
近藤「......とにかく、点を取らなけりゃ始まらねぇ。後半で巻き返さねぇと...!相手は前に出てくるタイプのチームだ。突き崩すチャンスは見出せるハズだ。」
今季初の先発となる㉕比嘉は、今一つしっくりきていなかった。
比嘉「(........ち。やっぱり感覚にズレを覚える。だが前半で掴んだものはある。後半はもう少しゴールに向かっていかねぇと...!)」
ハーフタイムが明けてピッチに選手たちが戻ってくる。
中西「.....ジェフの問題は守備じゃないと思っているよ。どちらかといえば攻撃に問題がありそうだな。」
中西「最終ラインはよくやってる。もちろんまだまだ足りない部分も多いけど。だが成長は外から見てても感じる。..........問題は攻撃。なんで中盤で手詰まりになるか、その本質をちゃんと捉えねぇと...」
うーん、とため息をついて、話を続ける。
中西「ジェフは相手のプレスに捕まって、中盤で前を向かせて貰えていない。なんでそんな状況にあるかって事をよく考えないといけない。
中央で繋がらないならサイドが空いているハズだし、ディフェンスラインが前に強く来るのであれば、裏は取りやすいハズ。
相手のラインが低ければ、ゴール前にハイボールを放り込むなりして、セカンドボールを拾えれば即ゴール前だ。
そういった、何がどう連動してくるのか、どこを動かせば何が引き起こるのか。
本質を捉える力がないとゲームは動かせない。」
選手たちを送り出した監督もベンチに腰掛けながら同じ事を考えていた。
エスナイデル「(.........例えば日本人はどうにもロングボールに対してネガティブなイメージを持っていル。ロングボール=悪と考える節があル。だが、ロングボールにだってメリットがある事を忘れてはならなイ。
一発で裏を取れるならそんなに楽な事は無いし、ショートパスを繋ぎたければロングボールで相手のシステムを間延びさせる必要だってあル。だが、目先のショートパスに拘って、その本質を捉えられないのが日本人の悪い癖ダ。」
"裏を取ろう!"
例えば監督にそう言われて裏ばかり狙うのは二流だ。
一流は裏を取る為には何が必要なのか、目的を達する為にはどうすれば良いか。
その本質を捉えられるものだ。
難しい戦術を与えれて、それをただ愚直に繰り返すだけではまだまだ。
その本質を捉え、自分たちで考えられるようになる事を、求められる戦いが始まろうとしていた。
▼後半戦 Kick Off
㉜高橋 → ⑥山本
後半の頭から選手交代。
⑥山本を投入してのスタート。
早くも迎えた大きな壁。
しかし、そう簡単に改善されるものではなかった。
序盤は積極的にプレスに出てきた湘南も、全体のブロックをリトリート。
ボールを失った瞬間は3トップを中心にチェイス。
ジェフがボールを落ち着かせると一度全体をリトリートして、ブロックを形成。
そして、そこからジェフが中盤にボールをつける度に素早くアプローチをしていく。
中盤で前を向けないジェフは後方でボールを回す事に終始し、痺れを切らして無理に縦へ突破しようとすると湘南のプレスに捕まりボールロスト。
その上、湘南の守備組織は洗練されていた。
前に強く出る際、空いたスペースを周囲がカバーするような連動性を絶えず見せていた。
中西「5枚で最終ラインに蓋をする。そして、目の前にボールが出てきたら素早くアプローチ。その瞬間に周囲がスライドして空いたスペースの穴埋めをしている。見事だ...」
⑪船山が裏を取る動きを見せるも、なかなか質の高いボールが出てこない。
曺「裏を取られると前に強く出れなくなるからな....それをさせない為に3トップがプレッシャーをかける。」
59分 ⑪船山 → ⑨ラリベイ
72分 ㉑サリーナス → ⑱吉田
交代によって攻撃の活性化を図るものの、徐々に時間だけが過ぎていく。
サイドで人数をかけた時には良い攻撃になった。
湘南のWBとサイドCBの2枚に対して、ジェフのWBとインサイドハーフ、2トップの一角の3枚が絡む事で数的優位を作り出し、サイドを抜ける。
しかし。
実況「おぉ!!ジェフがサイトを突破、クロスが上がるーーーーーー...........!!!
...........しかし合わないーーー!!!!」
ファイナルサードでのプレーの精度を欠く。
すると76分。
中盤、やはり捕まるジェフ。
攻撃に出ていた㉕比嘉の裏には広大なスペース。
そこに長いボールが出る。
ペナルティエリア右手前まで一気に侵入!!
優也「..............戻りきれねぇ...!!」
ドン!!!!
トラップせず、駆け込んだ勢いそのままにバウンドしているボールを強く蹴りこむ。
Gk佐藤の頭上を越えたボールがファーサイドネットに突き刺さった。
実況「ゴラッソォォォォォォォォ!!!!湘南追加点ーーーー!!!!」
同じようなハイプレスを標榜する湘南。
しかし、当然のことながら、その完成度には大きな差があった。
清武「.....はぁ.....はぁ.............くそ。」
ピッピッピーーーーーーーーー!!!
試合終了
2-0
湘南ベルマーレ勝利
うなだれるジェフの選手たち。
開幕戦後の調子の良かった雰囲気は一変し、どうしたらよいのかわからなくなっていた。
試合後のロッカールームで監督が選手たちに告げた言葉はシンプルで短いものだった。
エスナイデル「................こんなものカ?」
エスナイデル「...............覚悟が足りなイ。圧倒的ニ。
サッカーに対してじゃなイ。
試合に対してじゃなイ。
一つ一つのプレーに対してダ。」
Fin
※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。
コメント
コメント一覧 (2)
ランキングから来ました。
このフィクションは面白いですね。しっかり試合を見てないとできないものです。
感動しました。本当にこんな感じなんでしょうかね?
応援していきます~♪
コメントありがとうございます♪
試合内容の解説とか分析って読み疲れしちゃうので、この形にしてます!
漫画的な(笑)
試合以外の活動も行っていきますので、お時間ある際には是非ー♪