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連勝ーーーーーーーーーーーーーー





今季、まだ連勝の無いチーム。

ホームでは無敗を続けているものの、引き分けも多く、アウェイではなかなか勝てない日々が続いた。


そんな中、前節岐阜とのアウェイゲームでは、6-4での爆発。
乱打戦をものにして、連勝の権利を得た。


苦手としてきたアウェイでの勝利を飾り、ホームフクアリに戻ってくる。
チームの気合も高まっていた。


そして、それはもちろんサポーターも同じ。


チームバスがスタジアムに到着すると、サポーターがチャントを歌って迎え入れる。

「連勝」の二文字が掲げられ、選手たちを後押しする形でこの日は始まった。






ーーーーーーーーーロッカールーム






エスナイデル監督から、この日の作戦、そしてディテールの部分について指示が出る。
良い意味での緊張感。

そして、話の終わりにエスナイデルは力を込めて選手に語り掛ける。




エスナイデル
「最後に.......











スタジアムに到着した時の光景は目に焼き付いているナ?









..........以上ダ。



行くゾ!」










▼Kick Off



大分のシステムは3-4-3

ジェフのシステムは4-3-3


ジェフの3トップと大分の3バックが数的同数。
前半立ち上がりから積極的にこの3バックに圧力をかける。


蹴らせては競り勝つ。


そして、セカンドボールを根こそぎ回収していく。




中盤の底でこの男が目を光らせる。





熊谷
「システム的にも俺の位置が空くハズなんだ......セカンドボールを制する事が出来れば、必ず試合は優位に運べる!」





この形でジェフが試合を優位に進めていく。

大分はしっかりとブロックを作って対応するが、ジェフが戦術的にも上を行く。



今までは低い位置でのビルドアップに終始するケースが見受けられたが、使ったのは相手3バックの右CBと左CBの手前のスペース。

この位置にウィングとインサイドハーフが出入りする事で、相手を前後に揺さぶる。

片方が下がってCBを引き出すと、空いた後方のスペースにすかさずもう片方が裏を狙う。

㉜高橋が手前に下がって相手CBを引き付けると、⑪船山が空いたスペースへ侵入する。



myboard




また、⑨ラリベイもこの左右の相手CBの手前のスペースへスライドして縦パスを引き出すシーンが数多く見受けられる。




myboard


すると外から⑪船山が入ってきてゴールに向いた状態でボールを受ける事が出来る。


後方での停滞感は、この長い縦パスを通す、チームとしての共通認識で解決する。




攻撃は良い形が続いている。
いつも通り、相手陣内でのプレーが続く。




だが、ここで怖いのはカウンターだ。

実際、大分は長いボールを駆使して、常にトップが背後を取る動きを繰り返していた。


良いボールが来ればいつでも飛び出る準備が出来ている。







しかし。








ここはこの男の戦いだった。








ジェフがボールをロストする。





ワイドに開いた大分の選手に長いボールが出る。







船山
「......マズい!!」














バシィ!!




















「アンドリュー!!」







ジェフがボールロストした後のルーズボールを、根こそぎ刈り取っていく。



カウンターの芽を摘んでいく。








中盤での守備への切り替えも早い。





ジェフがボールロストして、いざ相手が顔を上げよう瞬間にはすぐさま強烈なタックルをかました。
ファールであろうと、しっかりとカウンターを止める。



鬼気迫るものを感じるほどに.....











熊谷
「(........別に、今までだって手を抜いていた瞬間なんて無かった。
常に全力でやっていた。


でも結果としてそれは、全力でやっていた"つもり"だったのかもしれない。



自分には自分の持ち味がある?
自分の強みで勝負する?







........そんなものは言い訳だ。






ここで、最低限やらなきゃいけないプレーがある。
それが得意であろうとなかろうと、やらなきゃならない仕事がある。



自分の得意なプレー、自分の強みなんてものは、それを全部やり切った上で、上積みとして乗せるもんだ...!)」









熊谷
「そうでしょう..........勇人さん...」









ジェフは大きなカウンターやピンチを受けなかった。
それは、その芽を摘み取っていたから。








そんな中盤での戦いが報われる。





32分に⑧清武のスーパープレーから⑪船山が押し込んで先制。

終始攻め込む形で前半を折り返す。






更に後半早々、㉘乾が魅せる。





左サイドでボールを持つと、そのまま縦へと突破する。



相手DF
「く....懐が深くてボールが取れない....せめて外に押し出せば....!」




しかし、㉘乾のしなる左足から体重の乗った見事なクロスが繰り出される!




相手DF
「な.....!その態勢から上がるのかよ!!」







ガシュ!!








GKの頭上を越えたボールを⑧清武がフリーで押し込んで追加点。








実況
「ゴォォォォォォォォル!!!後半開始早々に突き放すーーー!!」








大分は㉝鈴木を中心に、長いボールを躊躇なく入れ始める。
それから中盤の繋ぎをダイレクトにして、フリックから裏のスペースへの抜け出しを狙う。


しかし、セットプレーから⑨ラリベイが追加点を奪うと、ジェフのペース。




大分も攻撃をシンプルにした事で、ボールを持つ時間帯は増えたものの、ジェフは着実にカウンターを狙う。



3トップが得点をあげる最高の展開に持ち込んだジェフは、スタジアムの熱気が後押しとなって、相手を飲み込んでいく。
フクアリの空気に気圧される大分の選手たち。




1点は返すものの、ビルドアップでのミスが目立ち、次々にジェフにボールを渡してしまう。





相手監督
「ぐぬぅ.....この雰囲気に選手たちが飲まれている...この空気で平常心を保つのは容易くはないか.....!!」





相手のミスをカットした⑩町田がすかさず⑨ラリベイにボールを送るとこれを沈めて4得点目。












ピーーーーーピピーーーーーーーーーーー!!!!!







試合終了











4-1










エスナイデル
「.........なかなか思い通りに事は運ばなかったが、なんとか間に合ったカ....


夏の戦いが重要なのは承知していル。
ここまでにチーム全体の層を上げておく必要があっタ。」












表情をグッと引き締めて、踵を返す。




















エスナイデル
「..................さぁ、新しいステージに行こウ。」








Fin



 ※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。