システムもスタメンも変えて臨む第5節。
試合開始早々、オープニングシュートを放ったの⑦佐藤勇人。
そのバンディエラの躍動を見て、黙っている”彼ら”ではなかった。
清武
「早速見せてくれるなぁ。」
船山
「............早くオレにボールを...」
キャプテン③近藤が帰ってきた最終ラインはしっかりと統率され、2ボランチと合わせて安定した基盤を見せる。
守備の基盤が安定すればあとは攻撃。
⑧清武と⑪船山は両ウィングというよりはセカンドトップに近く、特に⑪船山はほとんとトップに近い位置でプレーしていた。
それはすなわちエースストライカー⑨ラリベイの近くでプレイしているという事であり、⑨ラリベイにボールが入ると必ずサポートに入った。
攻守に安定した戦いを見せるジェフだったが、ゲームを動かしたのは今季から加入してスタメンに名を連ね続けているこの男だった。
2ボランチの所でガッツリと相手の攻撃の芽を摘むと、⑱熊谷が素早く左サイドへ展開。
㉗高木にボールが渡ると、⑨ラリベイ、⑧清武、⑪船山が一斉にゴールに向かって走り出す!
解説
「こ、これは..............久しぶりに感じる...............ジェフのカウンター....!!」
数的優位のジェフが勢いを持って敵陣に切り込むと、ボールホルダーの㉗高木は誰にボールを出す事もなく、自らバイタルエリアまで運び、思い切り左足を振り切る!
シュパッ!!
雨でスリッピーなピッチを這うシュートが、ゴール右下に突き刺さる!
高木
「うしっ!!」
ジェフ移籍後初のゴール!
力強く拳を握った。
しかし。
実況
「.........ん?これは.....副審がフラッグを上げている!?」
高木
「は?何が!?」
副審に詳しい話を聞きに行った主審が、改めて手を挙げて笛を吹く。
間接フリーキックのアナウンス。
それはつまり、オフサイドだ。
解説
「これは........どうやらラリベイ選手のオフサイドを取られたようですね....」
ラリベイ
「なんだっテ!?」
㉗高木のシュートコースに重なった⑨ラリベイが、GKの反応に影響を与えたとジャッジされ、オフサイドを取られたのだった。
これは非常に判断が難しい所ではあるが、しかし違っているとは言い切れないジャッジだった。
大きく不満を露わにするサポーター。
しかし、選手たちのゲームに対する姿勢は変わらなかった。
16分
⑧清武の粘りから⑨ラリベイが左サイドでボールを回収。
すかさず送ったクロスは弾かれるが、バイタルエリアで拾ったのはジェフ。
今度は⑱熊谷アンドリューだった。
熊谷
「シッ!!」
インサイドに強く当てて鋭くカーブをかけたシュートは僅かに枠の上を越えていった。
解説
「こ、これは惜しい.......しかし...!」
実況
「ジェフが.....ジェフが止まらない!!セカンドボールを根こそぎ回収していく!!」
そして19分。
試合はセットプレーから動いた。
右コーナーキック。
キッカーの⑧清武が状況を確認し、素早くニアサイドにポジションを取った⑪船山にショートパスをつけると、ダイレクトで⑧清武にリターン。
これまたダイレクトで⑧清武が中央に放り込むと、ニアサイドにドンピシャのタイミングで合わせたのは㉗高木だった。
タイミング、コース共に絶妙!
GKはただ見送るしかなかった。
高木
「よしっ!!」
実況
「いったぁぁぁぁぁ!!!一瞬の隙を突いてジェフがセットプレーから素晴らしいゴール―!!!今度こそ間違いなく移籍後初ゴール!!高木利弥ぁぁぁ!!」
歓喜に沸くサポーター!
そして輪を作る選手たち!
清武
「ナイスヘッド!完璧!!」
ラリベイ
「グッド!!!」
勇人
「でかした!!」
一度目の得点が取り消された事でナーバスになる懸念も頭を過ぎったが、それを吹き飛ばす良い時間帯での得点だった。
ジェフは攻勢を緩めない。
⑧清武が左サイドのボランチ脇まで降りて来ては④エベルトからのパスの受け手としてボールを収める。
ここで㉗高木が高い位置を取る事によって中盤で数的優位を作りながら左サイドを攻略していく。
常に怖い位置にランニングし、ボールを持てば力強さを見せる。
清武
「..........おれがゲームを支配する!」
一方、右サイドの⑪船山も走力で魅せる。
攻守の切り替えの早さと繰り返すスプリントでプレスの先頭を駆ける!
攻撃においても、右サイドで⑥山本との連携を見せたと思いきや、中央の⑨ラリベイのサポートにも誰よりも早く反応する。
まさに縦横無尽に駆け回る!
船山
「...チームのリズムは俺が作る!」
守備では連動したプレスでしっかりと攻撃の芽を摘み、最終ラインがしっかりと蓋をして隙を見せない。
讃岐サポ
「...............セカンドボールを全く拾えない...」
主導権を渡さないまま、内容的にも圧倒。
ただ、ジェフは幸先よくリードしたものの、追加点を奪う事が出来ずにハーフタイムを迎える。
出来れば前半の良いリズムの内に追加点を挙げておきたい所ではあった。
しかし。
敵将の北野監督には少し焦りが見える。
北野監督
「.........ちっ。プレスをなんとかハメたい所だったが...3バックであった事はともかくして、あの⑯番..............随分と上手くプレスを剥がしてくるじゃないか...........!」
鳥海
「...................やれるぞ...!」
続く
※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。
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