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早くも7節が過ぎた。


開幕直後は選手/監督に退場者が続き、なかなかトップフォームで戦えなかった。
ようやく11人で戦い始めた頃に勝利が続き、
「やはり普通にやれればしっかり勝てる!」
と誰もが思った。

選手も、サポーターも、他クラブから見てもそう思われた。





しかし、これがそう単純ではなった。






負けたことのない大分の大銀ドームでまさかの4失点無得点。
苦手とするアウェイは相変わらずで、それでいてフクアリでも既に敗戦があるのだから不安を煽る。



サポーターも顔を上げられる者とそうでない者に別れ、次第に気持ちがバラバラになっていく。









近藤
「.............昨シーズンを思えば、アウェイでこそ勢いに弾みをつけたい所...!」








そんな想いも胸に臨んだアウェイ金沢戦。











しかし。














ここでもまた、目を覆いたくなるような結果を目の当たりにする事となった...










前半立ち上がりからミスを連発するジェフ。

特に後方からボランチにつけるパスのズレが酷く、この日もアンカーシステムで臨んでいたジェフとしては、ここでボールを奪われるとノーガードの状態で相手のショートカウンターを浴びる事に。






溝渕
「(ちくしょう........左SBは不慣れとは言え、それ以前のレベルでのミスが続いちまってる...!)」







ジェフのパスミスが続いた事で、ショートパスを格好の餌食にした金沢は前がかりに。



近藤
「...............であれば、だ。」










ドフッ!











後方から前線に長いボールを入れる。

そしてこれが功を奏する。










トップ下に⑪船山が名を連ねていたからだ。









⑨ラリベイに長いボールが入ると、これを何度も上手く競り勝ち、セカンドボールに⑪船山が反応。
常に⑨ラリベイと縦の関係に入る事で、相手の最終ラインを脅かし続けた。









町田
「(タカさんはいつもゴールに向かうポジションを取ってるから.............!)」





スパン!






⑩町田は後ろを向いてボールをキープしている時でさえ、縦パスのコースに入ってくる⑪船山を逃さない!












船山
「(...........その体勢からでもパスが出てくるのはありがてぇよ、ヤマト...!)」










前半40分を過ぎるとジェフの勢いが増していく...!










パスを出す。





動き直す。





パスを受けるムーブを入れる。





出てこなければまた動き直す。










目まぐるしくフリーランニングを繰り返しながら、パスが来なければ動き直す。
当たり前で、でも難しいプレー。

これが次第に良いリズムを生み出し、金沢ゴールを脅かす。





前半に仕留める事こそ出来なかったものの、後半開始14秒の出来事だった。









キックオフで下げたボールをダイレクトで前線にけり込む。
するとこのボールが相手最終ラインと中盤の間に落ち、金沢が一瞬フリーズ。
そこを逃さず⑨ラリベイが納めると、サポートに入った⑪船山へ。

いとも簡単にバイタルエリアに侵入すると右の⑩町田にパス!







ヤマト
「(.......................多分、そこに小さなポケットがあれば、タカさんは飛び込んでくる...!)」










シュパァ!











ダイレクトでグラウンダーのクロスを蹴り込むと。

相手DFがクリアしようと足を振り上げた所だった。









ギュン!!










突然⑪船山が飛び込んできて、相手DFの前に入る!

力まず、リラックスして振りぬいた右足がしっかりとボールを捉え、ゴールに突き刺さった...!










実況
「ゴォォォォォォォォォォル!!!先発起用に応えた船山ぁぁ!!」









船山
「うらぁぁぁぁ!!」









町田
「タカさん完璧!!」





ゴールをアシストした⑩町田が⑪船山に飛びつく。








山本
「良い所で決めてくるなー!!」





ラリベイ
「"らしい"ゴールだナ、タカユキ!!」







後半から天候が荒れていたスタジアムで、遠く駆け付けたサポーターが揺れていた。











54分


相手コーナーキックをGK佐藤がパンチングで回避。

セカンドボールを拾った金沢がサイドに展開し、グラウンダーの短いクロスを入れるとフリーで飛び込んだFWがボールを捉える!!







しかし。














ガシィィィ!!!











実況
「入っ..............いや、止めた!止めたぁぁ!!佐藤優也が体を投げ出してスーパーセーブゥゥ!!!」






近藤
「優也!!」








相手のクロスが出た瞬間にFWの足元に飛び込み、体ではじき出した。








優也
「..................今出来る事を最大限...!」









溝渕
「優也くん................」














しかし、ここまでだった。







57分

⑯鳥海が相手にプレスを掛けられると、セーフティで前に蹴ったハズのボールが相手の足に当たり、それがそのままジェフのゴールマウスに吸い込まれる。


なんとも不運な形で失点を許した。








だがこれで終わらない。





1分後には⑮溝渕が中盤でボールを持つと、相手のプレスに慌てて足を滑らせ、一気にカウンター。

③近藤のスライディングがかわされ、その隙に戻った⑮溝渕がスライディングを試みるも、蹴ったボールが相手の足に当たってこれまたゴールに吸い込まれる。


ミスと不運が重なった失点だった。





自滅に近い形でリズムを失ったジェフ。
そして息を吹き返して押せ押せの金沢。





78分にも金沢が追加点をあげて万事休す。




















「はぁ............はぁ...................はぁ.........................」







だがそれでも。



それでもその目の光を失わない者がいた。











何年も、何十年もゴールを目指して走り続けてきた男は、絶望的な状況下でもその足を止めない。















解説
「ジェフは..................船山にだけ、唯一の可能性を感じますね。」













体力的に厳しい終盤でも足を止めずにボールを追い続け、そしてマイボールになればゴール前に飛び込んでいった。












船山
「はぁ................はぁ.....................はぁ..................」











89分には右からのクロスを⑨ラリベイが頭で逸らし、すぐさま反応してボレーを放ったがキーパー正面。










くそっ










そう吐き捨てて再びポジションを取り直す。


だが残念ながらここから得点が生まれる事はなかった。

















開幕のスタートダッシュには失敗した。
"スタートダッシュ"で括れるのはもう終わりだろう。




いつまでも「始まったばかり」の気持ちじゃいられない。
シーズンは長いとは言え、もう"8節"も過ぎている。
















近藤
「.............あの時の一体感をどうやったら生み出せる......」











Fin

※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。