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実況
「ゴォォォォォォォォォォォル!!!先制はホーム横浜FC!!開始7分で早くもリードを奪ったぁぁ!!」






アウェイでは戦い方を変える。





その方針で少しずつ手ごたえを感じ始めていたが、慣れないシステムにてこずったのか、それとも相手の変則的なシステムに翻弄されてしまったのか。




ジェフは4-4-2の中盤をダイヤモンドにした形。
横浜は5-3-2の中盤を3ボランチにした形。

相手の3ボランチが近い距離間のまま押し上げてきて、横浜の強烈な2トップ、レアンドロ・ドミンゲスとイバも加わって、バイタルエリアへなだれ込んでくる。


中央での小気味よいパスワークでテンポを作られると、WBが駆け上がってきてシンプルにクロスを送り込んでくる。



相手のパスワークに目を奪われたのか、最終ラインで㉕茶島が取り残されてオフサイドを取れず。
裏に抜け出され、飛び出したGKの頭上をループシュートで射抜かれた。



反撃に出たいジェフだが、なかなか2トップにボールが入らない。
リズムを失うと次第に簡単な横パスにもミスが出始め、悪い形でボールを失っては横浜の攻撃を浴びた。




熊谷
「くっ...............さすがにこれだけ人数をかけられると潰しきれねぇ....!」




アンカーを守る⑱熊谷の脇を執拗に攻め込まれ、ジェフのペナルティエリアの手前、バイタルエリアを相手に譲る苦しい展開に。

この日はベンチスタートだった③近藤が歯がゆい思いで見つめている。






近藤
「くそ................なんとか押し返してくれ...!」






矢田
「(まずは相手を下げさせないとダメだ....多少無理やりにでも相手のブロックを押し下げる事から始めよう...!)」






高木
「(相手に主導権を握られた事を素直に認めるべきだ。"開始20分間"はオレたちの負けだ。まずはそれからだ...!)」







前半20分までは2トップにボールをつけたいのか、いつも通り相手のサイドの裏のスペースを突きたいのかが不明瞭だったが、次第に割り切った攻撃が増え始める。


まずは相手のサイドの裏へ、多少無理があってもボールを送り始める。




エスナイデル
「相手もかなりイケイケに来てるゾ...それをひっくり返すなら今ダ...!」




相手の裏のスペースにボールを送るようになると、今度はジェフのSBがボールを持ちやすくなり始めた。
すると、ここでも割り切った攻撃に出る!



完全にフリーの状態でSBがボールを持てた際には、すかさず前線2トップめがけてアーリークロスを放り込む!




得点こそ奪えないものの、気が付くといつも通り、ジェフがボールを握る展開になり、横浜の攻撃を受ける回数も減っていった。









「........おーし、悪くねぇフィールドになり始めたな...!」












そうボソッと呟いて目を光らせていたのはジェフの背番号11。






成田の漢だった。









ボールの持ち処に困る場面の多かったジェフだが、⑪船山が下りてきて顔を出す。
最初は⑪船山にボールを持たせてくれた横浜だったが、次第にこれを嫌がり、相手の3ボランチが⑪船山に対してプレスをかけ始める。





船山
「よし...来たか。なら次は...」





自分にマークが集中する事を確認すると、待ってましたと言わんばかりにボールをシンプルに捌き、すぐに反転して相手のバイタルエリアに向かって走り出す!




⑪船山を潰しにくる横浜のボランチがつり出され、がら空きになったバイタルエリアへの侵入を繰り返す。







前半戦こそ無得点に終わったジェフだったが、後半早くも数字として結果を出す。
もちろん11番が。




50分


右サイドのスローインから、㊿指宿が入れ替わるように相手2枚を置き去りにして、ゴールに向かって突進!

相手を引き付けると、2列目から猛然とゴール前に駆け上がってきた⑪船山!!










船山
「はぁ....当たり前だ...!最後の最後。いつだって最終的にはゴール狙ってんに決まってんだろ!!」






敵を十分に引き付けた㊿指宿がボックス内に侵入した⑪船山にスイッチ!














ズシャァ!!!!!










横浜がすかさず飛び込むシュートブロック!






......を⑪船山が冷静にかわした。










船山
「悪いな。見えてる。」













シュパァ!!















実況
「ゴォォォォォォォォォル!!!!!ジェフ千葉同点ーー!船山がワントラップで相手のブロックを外してゴールに流し込むーー!!!!」








船山
「うらぁぁ!!!」








これで同点。
攻撃のリズムも取り戻して、後半巻き返せるかもしれない。









しかし、横浜の攻撃に対する守備は依然として改善されたわけではなかった。

ジェフが改善したのはあくまで攻撃で、横浜の攻撃をジェフが攻撃によって封じていただけだった。
ホームで勝ち点3を拾うべく、横浜がもう一度攻撃のスイッチを入れる。




55分


左サイドで完全に裏を取られ、慌てて対応に飛び出した⑤増嶋が釣り出される。


増嶋
「(完全に人数が足りてない...!ここで止め切らないと.....)」



しかし、無情にもここで止め切る事は出来ず、中央完全にフリーの選手に横パスを通されてしまう!!













バシィ!!!








しかし、これを前に出てコースをふさいだGKロドリゲスがビッグセーブ!!!



ロドリゲス
「まだダ!セカン...」




ビシィ!!





最速で戻ってきた⑱熊谷がセカンドボールをクリア!

なんとか事なきを得る。










だが。












実況
「ゴーーーーーーーール!!!!追加点は横浜ーー!!」



熊谷
「はぁ....はぁ.........」

額の汗を拭う⑱熊谷。




中盤で⑱熊谷が2度、3度のタックルでボールにアプローチするも、次々に飛び出す横浜にことごとく拾われ、右に開いた北爪へ。









北爪
「はぁ......はぁ................ここで自分を証明しないと....おれは...........!」







北爪に放られたクロスがファーサイドへ。
完全フリーの状態に慌ててブロックへ飛び込むも、放たれたシュートはブロックによってコースが変わり、GKロドリゲスの逆をついてゴールに吸い込まれた。







62分
⑭小島 → ㉑サリーナス






選手交代でリズムを変えたい所だったが、この㉑サリーナスの不用意なロストから⑱熊谷が対応に飛び出さざるを得ず、その隙に横浜選手2枚がジェフのバイタルエリアに侵入!



そして、最後はレアンドロ・ドミンゲスの弾丸ミドルがジェフゴールに突き刺さり、リードを2点に広げられてしまう。



63分の事だった。
























船山
「...............走る事。そして、いつだってゴールだけは見失わない事。」





強い意志と"ベテラン"の闘志が背中から滲み出ていた。






続く

※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。
試合の分析はいつも通り行っておりますので試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。