J2リーグ14位。

これがジェフユナイテッド市原・千葉の現在地。
2018シーズン。
期待を背負って戦った菜の花カラーのチームは、期待に沿う成果を見せる事は出来ずに、全22チーム中14位と、真ん中よりも下の順位に着地する厳しい結果となった。


シーズン途中にはサポーターとの衝突も見られたし、勝ちきれない、守り切れない、毎年毎年の"見慣れた"光景を繰り返したシーズンとなった。


結果が伴わなければ当然の事でもあるが、チームに対するバッシングも大きくなる。
そんな中で、フロントはエスナイデルに3年目を託す決断をした。
納得のいかないサポーターも数多くいた(今もいるだろう)が、それでも継続を選んだ。

ここ折れてしまっては2018シーズンを無駄にしてしまう事を危惧したのか。



期待を抱かせた2017シーズン。
期待に応えられなかった2018シーズン。

期待を失った状態から臨む2019シーズン。
賭けとも言える3年目のエスナイデル体制は、果たしてどんな景色を見せてくれるのか。



柏レイソルとの戦いを制したちばぎんカップを経て。
期待を不安の渦巻く新シーズンが幕を開けるーーーーーーーーー






「............................」





町田也真人がいない。
近藤直也がいない。
ラリベイがいない。


リーダーシップを持つ選手たちがいなくなってしまった試合前のロッカールームで。
『背番号10』がかけられたロッカーを前に、この漢が呼吸を整える。




船山
「.........................ふー......」




2019シーズンを背番号10で臨む⑩船山。
その眼差しはいつもに増して力強く、自身に満ち溢れていた。

10番を重圧に感じるような漢じゃない。
むしろ10番を背負った自分を見ていろと、きっとそう言うだろう。


ピッチに立ってもその眼差しは変わらなかった。


船山
「...........勝つ為だったらなんだってするさ。」





ピーーーーーーーッ!!!





いよいよ戦いの火蓋が切って落とされる。
立ち上がり、ジェフはボールを持つとシンプルに裏のスペースを狙う。

4-2-3-1で臨んだこの試合。
最終ラインに②ゲリア、⑤増嶋、④エベルト、㊾下平。
ボランチには⑱熊谷と⑳矢田。
2列目に⑧堀米、⑩船山、㉕茶島。
最前線に㉑アランピニェイロ。


⑩船山と㉑アランが縦の関係を作りながら、積極的に裏のスペースを狙って走る。
アウェイながら相手の嫌がる攻撃を繰り返すと、⑧堀米を中心に相手ゴールに迫っていった。



しかし、アクシデントがジェフを襲う。





「くっ..................!」




前半17分にして、⑳矢田が足を痛めて交代を余儀なくされる。



17分
⑳矢田 → ⑭小島




古巣愛媛との試合に、思いがけない形でピッチに立つ形となった⑭小島。
⑳矢田の容態が心配されるが、プレイヤースキルとしてはこの交代によって戦力が下がる事は無い。

それは⑭小島の昨季の活躍を思い返せばよくわかる。



ただし、愛媛が徐々にジェフの攻撃に慣れ始める。
ジェフが徐々に地上戦に持ち込み始めるが、愛媛は1トップ+2シャドー。
更には2ボランチが高い位置を取って、ジェフの2ボランチを囲むように圧力をかけてくる。


ジェフの攻撃の起点である2ボランチを押さえられる事で、ジェフは空いているサイドへボールを送るが、5バックを敷く愛媛の守備は厚く、なかなか崩せないようになっていく。


更に、愛媛の⑩番、神谷が徐々に牙をむき始める。
ジェフの2ボランチの後方でボールを積極的に引き出すと、すぐさま前を向く、

⑩神谷が前を向く事をスイッチとして、愛媛が一気に押し込んでくる!



熊谷
「ちっ...!面倒な所に顔を出してきやがる...!!」



いつもはほとんどの時間をボール保持するジェフだが、この日のボールの支配率はほとんど互角。


更には、愛媛がジェフのバイタルエリアにボールを入れる際に、ジェフのプレスが食いつくことを利用して、縦パスをフリックしてジェフのプレスを剥がすようになっていく。



最終ラインが体を張るものの、着実に愛媛の攻撃がジェフを捉え始めた。




そこに不幸が重なる。





茶島
「...........くそ...」






39分
㉕茶島 → ⑬為田




㉕茶島も足を痛め、交代を余儀なくされる。
前半途中の時点で、アクシデントによる交代が2枚。

残る交代枠が1枚になってしまった。






エスナイデル
「(.......プランを変更せざるを得なイ....)」




40分。

愛媛のコーナーキックの崩れから、ジェフが奪ったボールを繋ごうと自陣で横パスをした瞬間を愛媛に狙われる!





バイタルエリアで愛媛の選手に拾われ、これをワンタッチで落とす。










ギュンッ!!!!








強烈なシュートがジェフのゴール右隅に向かっていく!!











ガシィ!!!!







優也
「フッ!!!」







しかし、これは守護神佐藤優也が横っ飛びをしながらこぼさずキャッチング!!





増嶋
「サンキュー!優也くん!!!」


エベルト
「助かル!」










なんとか凌いだものの、いつの間にか劣勢を強いられ、ペースは完全に愛媛側に。

ハーフタイムを挟んでも状況はなかなか変わらない。



後半立ち上がりこそサイドバックが高い位置を取って、2ボランチの守備スタート位置を高く。
愛媛の攻撃のスイッチである⑩神谷へのマークを厳しくしたものの、一向にギアは上がらない。




エスナイデル
「我慢ダ......これがアウェイの戦いである事を忘れるナ......」




就任してから、こだわり続けてきたアンカーのシステム。
しかし、2019シーズン始めの公式戦であるちばぎんカップで見せ、この試合でも採用したシステムは2ボランチだった。



その上、アウェイで、しかも前半のうちに2枚の交代カードを使うアクシデント。
よりリアリストな戦いを見せていた。





為田
「(本当は攻撃してぇよ...でも、ここはまず守備やっとかねぇと後で後悔する...!)」




熊谷
「押し込まれる場面も少なくないけど、最終ラインがかなり高い集中で守ってくれてる...どんな試合だって、上手くいかない時間帯が必ずくる。その時間帯の過ごし方、凌ぎ方を覚えないと俺たちは同じことを繰り返すだけだ...!」





⑱熊谷が語る通り、最終ラインはかなり高い集中を見せていた。
特に⑤増嶋と④エベルトの集中は研ぎ澄まされていて、要所の危ない場面では、体を張ってゴールを守り続ける。



増嶋
「エベルト!そっち頼んだ!!」


エベルト
「優也!来るゾ!!」




63分の時点でボール支配率は52%。
ほとんど拮抗している状況だった。



何度か危ういシーンを作られるも、なんとか凌ぐ。




75分
㉑アラン → ⑨クレーべ




最後の交代カードをここで切るエスナイデル。
元セレソンの大型FWを投入して一撃にかける。



エスナイデル
「この劣勢を圧倒的にひっくり返すのが難しい事を認めなければならなイ...ただ、それでもこの状況で可能性を見出すならばクレーべしかいなイ...!」


守備に重きを置きながらも、いわゆる"ワンチャン"をクレーべに託す。






クレーべ
「さぁテ...状況を正確に認識しなければならなイ...
我々が劣勢であるという事。
そして、アウェイゲームである事ダ。
オレがやらないといけないのは、しっかりと最前線で体を張り、こちらの攻撃の時間を少しでも長く作り出す事...!」




想いは他の選手たちも同様だった。
無理矢理攻撃に転じようとはしない。






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勇人
「いいか、俺たちは挑戦者だ。
誰がどう見たって挑戦者だ。

プライドもクソもあったもんじゃない。
これが俺たちの実力だと認めなければならない。
いつまでも自惚れてる場合じゃないぞ...!」

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2019シーズンのキャプテンに任命された勇人はそう語った。
どんな試合でも、どんな状況でも勝てる。
そんな慢心は捨てなければこのステージは闘えない。


全員がその姿勢を崩さないように一丸となる。





為田
「はぁ...はぁ........まず無失点だろ...
オレが出た試合で勝てりゃ最高だけど...負けだけは絶対に御免だ!」


一人一人が焦らない。
じっくりと耐え忍ぶ。


しかし、開幕戦をホームで闘う愛媛も必死の構え。
ホームで、しかも相手ジェフはけが人で2枚の交代枠を使い、目の前で息も絶え絶え。

仕留めにかかる!




78分

愛媛のコーナーキックのこぼれ球から、緩めのロブパスがジェフのボックス内に送られる。
すかさず愛媛がそのボールを頭で落とし、バイタルエリアへ走り込んで強烈なシュートを放つ!!








ズドンっ!!!!






シュートがジェフのゴールへ向かおうとしたその時だった。

バチィ!!!







咄嗟に身を投げ出したジェフのDFに当たり、コースが変わったシュートは勢いを殺され、ゆっくりと枠の上を越えた。

その瞬間、愛媛の選手たちが一斉に主審に駆け寄る!







「ハンドだ!!!!」






スライディングでブロックに入った④エベルトの肘にボールが当たって枠を逸れた事で、愛媛がPKを主張して主審に詰め寄る!

しかし主張は認められない。


主審の判定は、再度のコーナーキックだった。
結果としては、④エベルトが体を投げ出してゴールを死守した形となった。



この後も愛媛が攻勢に出て、時折ジェフが⑨クレーべを起点として反撃に出る形でゲームが進んだが、なんとかこのまま"耐え抜き"、アウェイで貴重な勝ち点1を拾う格好となった。








ピッピッピーーーーーーー!!!!




増嶋
「ふぅ...なんとか無失点で切り抜けたか...」



エベルト
「マス、ユウヤ。よくやったナ。」




エスナイデル
「(決して手放しで喜べる内容ではなかったが、最低限の結果を得る事が出来たのは、成長の証として前向きに捉えておこウ...)」





まだまだ始まったばかりの2019シーズン。
この1試合で何かが測れるわけではないが、プラスに捉えられる材料もある。


次節はホームフクアリでの開幕戦。
ホーム戦を今回の内容で闘っているようでは困る。


ジェフユナイテッドの試行錯誤は続くーーーーー




















Fin




※選手のセリフ、心情は全て妄想です。フィクションです。 試合の流れ自体はノンフィクションですが、何卒ご留意下さい。