▼この記事を読むのにかかる時間/約5分

ちゃらーす☆
さて、皆さんは"偽9番"というものをご存知だろうか。
もしかしたら、その言葉自体は耳にした事があるかもしれない。
近年では、グアルディオラ前バルセロナ監督が、リオネル・メッシを最大限に生かす為に組み込んだ戦術だ。
しかし、その内容を知っている人がどれだけいるだろうか。
何故、"偽9番"などという言い方がされているのか、その理由を理解している人がどれだけいるだろうか。
かつてヨハン・クライフもその役割を担い、更にそのもっと昔から存在していたこの特異なポジション。
その本質とは。
さて、かっこつけた導入を用いてみましたが、この記事の主役はあくまで日本代表のエースナンバー、⑩香川真司です。
何故導入で"偽9番"を用いたのか。
それは、香川が中盤で引き起こそうとしている狙いと、"偽9番"が引き起こそうとしている狙いの戦術的アプローチが近いからです。
彼の強み、狙い、活かし方を分析しつつ、冒頭でご紹介した"偽9番"や、香川と同様の狙いを持つ世界的なプレーヤーにも言及していきます。
▼ボールを受けに下がってくる香川真司...
香川真司を見ていて、こう思った事はありませんか?
「香川がボランチまで下がってボールを受けてる。下がりすぎじゃないのか」
イギリスではこんな見方もされていました。
「香川はバックパスしかしない」
まあ、イギリスの評価は国民的な嗜好が入った話だから置いておくとして。
何故、香川は低い位置まで下がってきてボールを受けるのか。
ボールのタッチ数を増やして、自分のリズムを作りたいから?
半分正解です。
ではもう半分。
▼縦のポジション移動で数的優位を作り出す...
さて、結論から入りましょう。
これこそが、香川真司が狙っているものであり、強みに繋がってくる部分。
そして、周囲がこれを理解して彼を最大限に活かしていかなければならない部分です。
香川の特徴は、自身が低い位置、高い位置でボールを引き出す事で、局面ごとの数的優位を作り出し、相手に縦のギャップを生み出す事です。
まずは日本のシステム。
4-2-3-1
これがベースです。
ここではこれを、1列目~4列目に分けて考えましょう。
香川は2列目の中央、つまりはトップ下がポジションです。
皆さんがよく見る、ボランチの位置まで下がる光景、それはつまり3列目に下がる事を意味します。
すると、一時的にシステムが、
4-3-2-1
になるわけです。
香川が下がった事で一時的にボランチの枚数が増えました。
ボランチに3枚の選手がいれば、ビルドアップにおいてまず相手に数的に劣る事はありません。
※相手のシステムにもよりますが、こちらのボランチに対しては、相手のFWか、トップ下の選手、ボランチの選手がプレスにくる事になります。
そうなるとこちらのボランチに対して、3枚がプレッシングにくる事は非常に稀。たいてい1枚か2枚ですから、ボランチの枚数が3枚になればまず数的優位を作れます。
▼相手のプレスを引き延ばして、縦のギャップを作り出す...
香川が下がってボランチが3枚になった日本。
すると何が起きるかと言うと、相手はボールを奪う為にはプレスの枚数を増やさなければならないわけです。
まあ、相手としては自分たちの3列目でマークしていた香川が下がっていったわけですから、3列目からそのまま香川を追って2列目に増員を図ります。
するとどうなるか。
日本は香川が引いた事で重心が下がって、相手は香川を追って前線にかけるプレスの枚数を増やした事で重心が上がります。
それだけ聞くと日本が良くないように聞こえますが。。
しかし。
そうなると、日本も相手も、中盤に間延びが生じます。
でもここで重要なのは、ボールを保持しているのが日本であるという事。
同じ間延びでも、守備に回る相手の方がよっぽど問題です。
とまあ、ここまでつらつらと小難しい文章で解説してきましたが、ここからは画像を用いて見てみましょう。

画像は先日の日本VSシリアから。
左から右に攻める日本(青)。
センターサークルのすぐ上で、縦パスを貰いに下がる香川。
ほんのわずかですが、ここで香川が下がって受ける事で、相手のシリアの最終ラインと中盤の間にポケットが生じます。
この縦パスを香川はダイレクトでバックパス。
すると。

バックパスを受けた山口蛍は香川と並走していた本田にパス。
しかし本当の狙いは本田ではなく、バックパスを出したあと前を向いて態勢の整う香川へのリターン。
本田がダイレクトで香川にはたいて、香川は自らが明けたこの間のスペースで前を向いてボールを持てるわけです。
これが一例ではありますが、香川の活かし方。
・2列目の香川が下がる
⇒相手を3列目で食いつかせて、中盤にギャップを作り出す
⇒ボールを受け取った香川は簡単に捌いて自分で開けたスペースに侵入していく
香川はこうしてスペースを作り出していますが、これは一人では成しえないわけです。
香川のこの一連のアクションを理解していて、上手く彼を使ってくれるチームメイトがいないと光りません。
まあ、マンチェスターユナイテッドで成功出来なかった一つの要因ですね。
▼同様の動きをするのが、マンチェスターシティのダビド・シルバ...
さて、ここで解説した香川真司の動きですが、この有効な動きを世界のトップレベルでやり続ける選手は他にもいるんですよ。
それが、マンチェスターシティのダビド・シルバ。
スカパーの解説陣が毎回虜になるこの男も、香川と似たような狙いの動きをします。
(もちろん、ボールを持った時の動きとか、細かい技術の部分に差異はありますよ)
シルバはシティでは本当に王様のごとく自由に動き回れる権限を与えられているので、右に左に、前に後ろに神出鬼没です。
まあ、守備に関してはほとんど計算されていないと思います(^^;)
当然、厳しいマークにあうわけなんですケド、香川同様に下がってボールを引き出して相手の間延びを生じさせるプレーを繰り返します。

左から右に攻めるシティ(水色)。
縦パスをダイレクトで戻すのがシルバ。
敢えて相手中盤のマーカーの目前でボールを触ります。
ここでマーカーを食いつかせておいて。。

主審(赤)のすぐ左下にいるのがシルバ。
ボールが動いている間に相手の背後にスッと入っていくわけです。
マーカーは下がるシルバについていけばスペースを空けるし、ついていかなければ自由にボールに触られてしまう。
こういったボールを持っていない時、頭脳を使った駆け引きは、体格が似た日本人には是非参考にしていただきたいプレーですね。
▼この縦のポジション移動を最前線で行うのが"偽9番"...
そして冒頭で取り上げた"偽9番"。
これもここで取り上げたプレーの内容に似通っているので、折角だし解説しておきます。
やはりバルセロナを例に取ります。
ただし、例に取るのはグアルディオラ監督時代のバルセロナ。
バルセロナのシステムは。
4-3-3
メッシは中央に入ってました。
ベースポジションとしては中央の最前線に張るメッシには、当然相手チームのCBがマークにつきます。
しかし、いざバルセロナボールになって、組み立てから中盤にボールが入ると、メッシはスッと中盤に下がっていきます。
ここで、中盤の枚数を厚くするわけです。
すると、マークについていたCBはついていくべきか、マークを受け渡すべきか迷うわけです。
ついていけば最終ラインに穴が開くし、受け渡そうにも元々マークしていないメッシを急に中盤に任せられても手一杯。
メッシは2列目で前を向いてボールを受ける事ができ、あの驚異的なドリブルを繰り出せるわけです。
背の小さいメッシは、相手を背負うプレーは得意ではないです。
メッシのストロングポイントを最大限に生かすための戦術になるわけです。
さて、話が脱線しましたが、香川のストロングポイントは前を向いてボールを受ける技術と、周りとのコンビネーションでボックスに侵入していく動きです。
かつて、マンチェスターユナイテッドで香川の獲得を進言したファーガソン元監督も、この日本のエースナンバーのストロングポイントに関して言いました。
「彼は、前を向いてボールを受ける技術が抜群に上手い」
香川が何故下がってボールを受けるのか。
改めてそれは、ポジション間を移動する事で、数的優位を作り出し、そして自身が前を向いてプレーするスペースを生み出す為です。
となると、ビルドアップをダラダラとやっていては無駄な事。
香川がボールを捌きに下がってきたあとに、またゆっくりとボールを回しているようでは、彼が明けたスペースは埋まってしまう。
周りの選手が彼の意図を感じ、それを上手く使ってあげないといけないわけです。
香川が下がってボールを受けに来た時は、空いた背後のスペースの使い方に注目しましょう。
今後のエースナンバーの活躍に期待!
メモメモ♪

ちゃらーす☆
さて、皆さんは"偽9番"というものをご存知だろうか。
もしかしたら、その言葉自体は耳にした事があるかもしれない。
近年では、グアルディオラ前バルセロナ監督が、リオネル・メッシを最大限に生かす為に組み込んだ戦術だ。
しかし、その内容を知っている人がどれだけいるだろうか。
何故、"偽9番"などという言い方がされているのか、その理由を理解している人がどれだけいるだろうか。
かつてヨハン・クライフもその役割を担い、更にそのもっと昔から存在していたこの特異なポジション。
その本質とは。
さて、かっこつけた導入を用いてみましたが、この記事の主役はあくまで日本代表のエースナンバー、⑩香川真司です。
何故導入で"偽9番"を用いたのか。
それは、香川が中盤で引き起こそうとしている狙いと、"偽9番"が引き起こそうとしている狙いの戦術的アプローチが近いからです。
彼の強み、狙い、活かし方を分析しつつ、冒頭でご紹介した"偽9番"や、香川と同様の狙いを持つ世界的なプレーヤーにも言及していきます。
▼ボールを受けに下がってくる香川真司...
香川真司を見ていて、こう思った事はありませんか?
「香川がボランチまで下がってボールを受けてる。下がりすぎじゃないのか」
イギリスではこんな見方もされていました。
「香川はバックパスしかしない」
まあ、イギリスの評価は国民的な嗜好が入った話だから置いておくとして。
何故、香川は低い位置まで下がってきてボールを受けるのか。
ボールのタッチ数を増やして、自分のリズムを作りたいから?
半分正解です。
ではもう半分。
▼縦のポジション移動で数的優位を作り出す...
さて、結論から入りましょう。
これこそが、香川真司が狙っているものであり、強みに繋がってくる部分。
そして、周囲がこれを理解して彼を最大限に活かしていかなければならない部分です。
香川の特徴は、自身が低い位置、高い位置でボールを引き出す事で、局面ごとの数的優位を作り出し、相手に縦のギャップを生み出す事です。
まずは日本のシステム。
4-2-3-1
これがベースです。
ここではこれを、1列目~4列目に分けて考えましょう。
香川は2列目の中央、つまりはトップ下がポジションです。
皆さんがよく見る、ボランチの位置まで下がる光景、それはつまり3列目に下がる事を意味します。
すると、一時的にシステムが、
4-3-2-1
になるわけです。
香川が下がった事で一時的にボランチの枚数が増えました。
ボランチに3枚の選手がいれば、ビルドアップにおいてまず相手に数的に劣る事はありません。
※相手のシステムにもよりますが、こちらのボランチに対しては、相手のFWか、トップ下の選手、ボランチの選手がプレスにくる事になります。
そうなるとこちらのボランチに対して、3枚がプレッシングにくる事は非常に稀。たいてい1枚か2枚ですから、ボランチの枚数が3枚になればまず数的優位を作れます。
▼相手のプレスを引き延ばして、縦のギャップを作り出す...
香川が下がってボランチが3枚になった日本。
すると何が起きるかと言うと、相手はボールを奪う為にはプレスの枚数を増やさなければならないわけです。
まあ、相手としては自分たちの3列目でマークしていた香川が下がっていったわけですから、3列目からそのまま香川を追って2列目に増員を図ります。
するとどうなるか。
日本は香川が引いた事で重心が下がって、相手は香川を追って前線にかけるプレスの枚数を増やした事で重心が上がります。
それだけ聞くと日本が良くないように聞こえますが。。
しかし。
そうなると、日本も相手も、中盤に間延びが生じます。
でもここで重要なのは、ボールを保持しているのが日本であるという事。
同じ間延びでも、守備に回る相手の方がよっぽど問題です。
とまあ、ここまでつらつらと小難しい文章で解説してきましたが、ここからは画像を用いて見てみましょう。

画像は先日の日本VSシリアから。
左から右に攻める日本(青)。
センターサークルのすぐ上で、縦パスを貰いに下がる香川。
ほんのわずかですが、ここで香川が下がって受ける事で、相手のシリアの最終ラインと中盤の間にポケットが生じます。
この縦パスを香川はダイレクトでバックパス。
すると。

バックパスを受けた山口蛍は香川と並走していた本田にパス。
しかし本当の狙いは本田ではなく、バックパスを出したあと前を向いて態勢の整う香川へのリターン。
本田がダイレクトで香川にはたいて、香川は自らが明けたこの間のスペースで前を向いてボールを持てるわけです。
これが一例ではありますが、香川の活かし方。
・2列目の香川が下がる
⇒相手を3列目で食いつかせて、中盤にギャップを作り出す
⇒ボールを受け取った香川は簡単に捌いて自分で開けたスペースに侵入していく
香川はこうしてスペースを作り出していますが、これは一人では成しえないわけです。
香川のこの一連のアクションを理解していて、上手く彼を使ってくれるチームメイトがいないと光りません。
まあ、マンチェスターユナイテッドで成功出来なかった一つの要因ですね。
▼同様の動きをするのが、マンチェスターシティのダビド・シルバ...
さて、ここで解説した香川真司の動きですが、この有効な動きを世界のトップレベルでやり続ける選手は他にもいるんですよ。
それが、マンチェスターシティのダビド・シルバ。
スカパーの解説陣が毎回虜になるこの男も、香川と似たような狙いの動きをします。
(もちろん、ボールを持った時の動きとか、細かい技術の部分に差異はありますよ)
シルバはシティでは本当に王様のごとく自由に動き回れる権限を与えられているので、右に左に、前に後ろに神出鬼没です。
まあ、守備に関してはほとんど計算されていないと思います(^^;)
当然、厳しいマークにあうわけなんですケド、香川同様に下がってボールを引き出して相手の間延びを生じさせるプレーを繰り返します。

左から右に攻めるシティ(水色)。
縦パスをダイレクトで戻すのがシルバ。
敢えて相手中盤のマーカーの目前でボールを触ります。
ここでマーカーを食いつかせておいて。。

主審(赤)のすぐ左下にいるのがシルバ。
ボールが動いている間に相手の背後にスッと入っていくわけです。
マーカーは下がるシルバについていけばスペースを空けるし、ついていかなければ自由にボールに触られてしまう。
こういったボールを持っていない時、頭脳を使った駆け引きは、体格が似た日本人には是非参考にしていただきたいプレーですね。
▼この縦のポジション移動を最前線で行うのが"偽9番"...
そして冒頭で取り上げた"偽9番"。
これもここで取り上げたプレーの内容に似通っているので、折角だし解説しておきます。
やはりバルセロナを例に取ります。
ただし、例に取るのはグアルディオラ監督時代のバルセロナ。
バルセロナのシステムは。
4-3-3
メッシは中央に入ってました。
ベースポジションとしては中央の最前線に張るメッシには、当然相手チームのCBがマークにつきます。
しかし、いざバルセロナボールになって、組み立てから中盤にボールが入ると、メッシはスッと中盤に下がっていきます。
ここで、中盤の枚数を厚くするわけです。
すると、マークについていたCBはついていくべきか、マークを受け渡すべきか迷うわけです。
ついていけば最終ラインに穴が開くし、受け渡そうにも元々マークしていないメッシを急に中盤に任せられても手一杯。
メッシは2列目で前を向いてボールを受ける事ができ、あの驚異的なドリブルを繰り出せるわけです。
背の小さいメッシは、相手を背負うプレーは得意ではないです。
メッシのストロングポイントを最大限に生かすための戦術になるわけです。
さて、話が脱線しましたが、香川のストロングポイントは前を向いてボールを受ける技術と、周りとのコンビネーションでボックスに侵入していく動きです。
かつて、マンチェスターユナイテッドで香川の獲得を進言したファーガソン元監督も、この日本のエースナンバーのストロングポイントに関して言いました。
「彼は、前を向いてボールを受ける技術が抜群に上手い」
香川が何故下がってボールを受けるのか。
改めてそれは、ポジション間を移動する事で、数的優位を作り出し、そして自身が前を向いてプレーするスペースを生み出す為です。
となると、ビルドアップをダラダラとやっていては無駄な事。
香川がボールを捌きに下がってきたあとに、またゆっくりとボールを回しているようでは、彼が明けたスペースは埋まってしまう。
周りの選手が彼の意図を感じ、それを上手く使ってあげないといけないわけです。
香川が下がってボールを受けに来た時は、空いた背後のスペースの使い方に注目しましょう。
今後のエースナンバーの活躍に期待!
メモメモ♪
コメント
コメント一覧 (3)
MFとCBのライン間で間受けポジション移動してても、パスが入らず停滞するから、仕方なく下がって、自分でギャップを作りに行く。別の人間が、これをやっていれば、PA近くで勝負できた。
後期の中田英寿は正に回遊でポジションギャップやスペース創出機会を作るプレーメーカーでしたが、彼はショートパスだけでなく、ピッチを広く使うことが得意で、長く大きな展開、縦に鋭く速い展開、深い展開に強みがありましたから、適性でしたけど、、、香川は、ゴールから遠い位置で、組立てから崩しの初期段階に参加するより、崩しからフィニッシュの最終段階、狭い局面で仕上げる力に強みがあったはずです。